【文スト】太宰治の奮闘記録

同居人 ページ2

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「―――中也、私今日頑張るよ」

「毎回云ってンぞ、そんで毎回駄目だったっつって帰ってきてンぞ、何度目の正直だ？」



生意気に私の恋路を莫迦にする相棒は、私が押し付けた任務に行く支度をしている最中


家賃が浮くからと、もう大分と前から生活を共にしてるが、今はお金に困ってないので切実にやめたい


出て行けと云えば、「手前が出ろ」と返ってきて喧嘩になるのが最近の恒例だ



「兎に角、今日こそは」

「はいはい、精々華麗に振られてこい」



ばさりと外套を羽織って、車のキーを指で遊ばせ乍ら玄関へ向かう中也


「そうだ、車貸してよ」

「……真逆とは思うが、手前自分がまともに運転出来る人間だと思ってンのか？」

「思ってるけど」

「莫迦か、助手席に女乗せて運転した瞬間心中が確定すんぞ」

「其れ佳いかも」



云うと、心底呆れたといった顔で、「話にならねぇ」と部屋を後にした失礼な相棒


恰好良くドライブでも出来たらと思ったけど、結局、今日もノープランだ



「……この際家に連れ込もうかな…」

「どの際だよ」

「うわ、未だ居たの」

「忘れもんだよ、それより手前、血迷った事すんなよ、嫌われても知らねぇぞ」

「ええ、心配してくれてるの？」

「ンな訳無ぇだろ、俺の留守中に女連れ込むなよって云ってンだよ」


キレ気味に云って、今度こそ出掛けて行った中也だが、三割くらいは心配してると見た

見かけに寄らず優しいからね、私の相棒は



「――仕方無い、いつものコースで行くか」


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