え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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Aside

『悠、いま何してるのー?!』

部屋から顔を出してリビングに向かって叫んでも返事がない。

『ちょっと返事ないな、見てくる』

｢あ、どうぞどうぞ。
あたしその間に洗濯物干しとくんで｣

林ちゃんに断りを入れ、リビングへと続くドアを開ける。

『悠…？
なんだ、寝てただけか…』

まさか倒れてやしないかと心配していたが、テーブルに突っ伏して寝ていただけだった。

最近、夜遅かったもんなぁ。

近くにあった貰い物のたぬきモチーフのブランケットをかけてあげてから、また部屋へと戻る。

林ちゃんは既に洗濯物を干し終えたようで、ソファに寝転んで足をパタパタさせていた。

うん、かわいい。

｢彼氏さん何してたんですか？｣

『あー、寝てた。
普通に疲れてるんだとおも｢ハッ、俺寝てた?!｣…』

呑気な叫び声がリビングから聞こえる。

｢今の声、彼氏さんですか｣

にやにやする林ちゃん。

『ほっといていいよ。
ごめんね生活音だだ漏れで…』

｢いえいえ、大丈夫です｣

リビングに続く自室のドアを閉めようとした時、それが途中で阻まれた。

『あ、悠。
おはよう』

悠はブランケットをずるずる引きずりながら入ってくる。

あ、すごい寝癖。

｢ん…？
いまなんじ…？？｣

寝起きで全然頭が働いていないらしく、ぽやぽやとした声だ。

林ちゃんはひたすらにやにやしている。

｢いまいちじは…1時半?!

待って…2時から打ち合わせや！｣

『え?!
あ、ごめん、私も忘れてた！』

やばいやばいとバタバタしながら準備をする悠。

彼は急いで靴を履き、いってきまーす！と外を出る。

林ちゃんと顔を見合わせて苦笑すると、またすごいインターホンの連打が聞こえてくる。

｢あら、忘れ物ですかね｣

『そうかも。
はいはい今行きます…』

ドアを開けようと立ち上がった時、鍵があいてばたばたと廊下を走る音が聞こえた。

自分で鍵を開けて入ったらしい。

｢忘れもんした!!!｣

足音が近づいてきたかと思えば、ドアが開いた。

悠が何故か私の部屋に来たのだ。

いきなりの出来事に固まっていると、悠は私の頬を両手で包んで顔を近づける。

悠の顔のドアップと、唇に何かが触れる感覚。

私が何が起こったのか分かった時には、悠はとっくに家を出ていた。

『ッ、〜〜〜!!』

顔がハンパなく熱い。

顔を手でおおって後ろに倒れ込む。

｢いつもいってきますのちゅーしてるんですか。
かわいいですね｣

『ちが、これは違うの!!
林ちゃん、わすれて…』

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