え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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Aside

｢アーティストとプロデューサーが一緒にダイエット？
へー、変わってますね｣

そう言って、林ちゃんが画面の向こうでにぱっと笑う。

あ、かわいい。

林ちゃんが考案したリモート女子会なるものは、思ったよりも満足感がある。

メンバーはまだ林ちゃんと私の2人だけだ。

｢そんなもんなんでしょうか？

あたし、この前けっこー有名なアーティストさんのライブに仕事で行ってきたんですけど、そこはそんなことしてなかったですよ｣

最近の近況について話していると、林ちゃんはそう言ってくいと首を傾げた。

あー、かわいい。

『まあ、無理しない程度に頑張ってとは言ったんだけど…
倒れないか心配だなあ』

｢彼氏さん、全然ダイエット必要な体型じゃないと思うんですけどね。
むしろ細い方じゃないですか？｣

『あー、そうそう、同棲初めてから体重減ったって喜んでた。
同棲する前の食生活悪かっただけだよ、絶対。
悠ってすごい料理音痴なんだから』

｢あーなんか、ぽいですね。
イメージ通りって感じです。

彼氏さん、ポンコツそうですもん｣

そう言って彼女は“飲み物取ってきます”と1度画面外へ。

彼女が画面に戻ってくるのを待ってから、私はくすくすと笑って言った。

『それ褒めてるの貶してるの』

｢いえ、萌えてます｣

『も、燃え…？』

｢萌え、ですよ｣

いつになく真剣な顔でそういう林ちゃんに、ふうん、と返した。

｢いいじゃないですか、彼氏さんイケメンですし。
優しそうですし。

あーあ、あたしも優しい彼氏がほしいなぁ…｣

そう言って林ちゃんはごろんとソファにもたれかかり、黙ってポッキーをさくさくと食べ進める。

『林ちゃん、彼氏いそうじゃん。
かわいいもん』

｢いたにはいましたけど…
自然消滅でオチですね。

A先輩だって、モテそうですよね。
高校時代とか華やかな青春してそう｣

『あ、でもねえ、私今の彼氏と付き合い始めたのが高校1年で……

その前は、中2のときだったかなぁ。
だから、まだ付き合うの今ので2回目なんだ』

林ちゃんはぱっと目を見開き、羨ましそうに言う。

｢そこまで続くって、相当仲良いんですね。
すっごいお似合いですもん｣

『そう？
うれしいな、ありがとう』

そう言うと林ちゃんは顔をおおって天を仰いだ。

｢いえいえこちらこそありがとうございます…
いつも萌えを供給して頂いて…

ところで、今日彼氏さんは何してるんですか？｣

『今？
さっきはリビングで作業してたけどなぁ』

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