え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

・ ページ43

Aside

｢朝ごはんって、まさかあの?!?!

寝ている間に消費したエネルギーを補充し、脳を活性化させることで身体を目覚めさせる役割があり、その他にも睡眠中に低下した体温を高めることや生活リズムを整える役割も持ってる、 しっかり目覚めきっていない身体に活動のスイッチを入れるためにも大切だと言えるあのasagohanのこと?!?!?!

あかんあかんあかん抜くなんて信じられへん!!!!!!!!
ほらちょっとでもええから食え!!!!!!!!｣

さすが元看護師、知識量が半端じゃない。

せっかく感心したのに、悠は褒める好きさえ与えず真っ青な顔で自分の食べかけのトーストを口に突っ込んでくる。

『んぐっ、ちょっと、落ち着いてよ！』

｢だってAが朝ごはん抜くとか言うから…｣

『わかったわかった抜かない抜かない！
食べるってば！』

げほげほと咳き込んでから、恐る恐る突っ込まれたトーストを1口食べる。

明らかに焼きすぎて焦げたトーストの苦い味と、それを誤魔化すように塗られたイチゴジャムの甘い味がなんとも言えない味を生み出している。

美味しくも不味くもない、そんな感じ。

トーストでさえ満足に焼けないなんて、とびっくりするけど悠なら十分ありえる。

帰ってきたらキッチンが酷い有様だったことは記憶に新しい。

『悠だって朝ごはん抜いたことあるくせに』

｢それとこれとは別問題やろ!!
時間ある時はしっかり食べなあかんねんで｣

私がトーストをきちんと食べるところを監視しながら悠がお母さんみたいなことを言った。

自分のことは棚に上げて、悠は私の事ばかり気遣う。

しかしそれで文句を言うとまたぐちぐちと説教が続くので言わないでおくけど。

にまにまと変な顔をしながら私が朝ご飯を食べるところを眺めている悠の頬をぺしりと叩くと、“あいたっ”と間抜けな声が聞こえる。

『何みてんの』

｢んーん、なんか、ゆっくり2人でご飯食べんの久しぶりやなぁって｣

『………確かにそうかも。
最近忙しかったからなぁ』

いくら有給が溜まってたとはいえ、それは限りあるものなわけで。

美月が不定期で開催する女子会の日以外はほとんど働き詰めだった。

だから丸一日の休日が実は嬉しかったりする。

理由が理由だから不本意ではあるけど。

｢Aの会社って季節の変わり目いっつも忙しそうやもんね｣

『まあ廃盤になる商品とか新商品が出てくる時期だから……
普通に資料作ってたら夜明けてたりとかあるよねぇ』

｢は??????｣

『ご、ごめん』

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す