え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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Aside

『と、言うことなのでしばらくお兄ちゃんの家には遊びに行けません』

〈なんで〉

『話聞いてた？』

本当に不思議そうな声で聞き返してくるお兄ちゃんにため息を着く。

いっそこのまま切ってやろうかな、とも思うけどそれは悠に全力で止められたのでやめておく。

在宅になって同僚や後輩にも会えずつまらないが、2日に1回のリモート会議だけが唯一の癒しだ。

Webカメラの付け方がわからず悠に手伝ってもらった際には、何故か女子達が湧いていた。

本人達曰く、“A先輩が嬉しそうで何よりです、あと、ご馳走様でした” だそうだ。

ご馳走様でしたって、どういう意味なんだろう。

〈いいじゃん、俺の家だよ？
安全に決まってんじゃん〉

『そういう問題じゃなくてね？
そんな事言ったら私の職場だって安全だってば。

行く途中に何かあったら危ないからってせっかく会社に在宅にして頂いたのに、お兄ちゃんだけ特別扱い出来ないよ』

ええ、と不機嫌そうな声。

しばらく黙ったあと、お兄ちゃんがぼそぼそと呟いた。

〈それ、いつまでなの、在宅って〉

『在宅？

ええと…少なくともなりすましのアカウントが凍結するまでかなぁ…
とりあえずは人目に付くところに出かけるのは控えなさいって言われたよ。
マスクつけて顔出ししちゃってるから、顔バレしたら自動的に住所バレする可能性も上がっちゃうし』

〈つまり、なりすまし犯のTwitterを通報しまくれば万事解決では……？〉

『やめて？？』

そんな思いついたような声で言わないで欲しい。

そして隣で聞いてた悠もひらめいたみたいな顔をやめてほしい。

全然いいアイディアじゃないから。

〈俺のフォロワーは146万人……3分の2が通報したとしたら97万人……いけるな〉

『いけるな、じゃないから！
フォロワーを利用しようとしないで!

ともかく、暫くは会えないから！
じゃあねバイバイ!!!』

〈え、ちょ＿＿〉

ブチッと音を立てて電話を切り、ドサリとソファに倒れ込んだ。

何か言ってたけどもう知らない。

｢お疲れさん、朝ごはん食べる？｣

トーストを食べながら椅子の上で足をパタパタ揺らしていた悠が苦笑しながら言う。

『んー、もうそんな時間かぁ…

あーどうしよ、運動しないのに食べたら太るかも…

抜こうかなぁ＿＿＿』

｢あかん｣

『え？』

悠はバンッと机を叩いてわなわなと唇を震わせていた。

ほんとにどうした？

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