え？ 彼氏？ 普通に一般人ですけど。THE SECOND 【となりの坂田。】

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no-side

｢なーなーAまだぁー？
ご飯せっかく作ったのに冷めんでー｣

悠のその言葉に女性社員は戦慄する。

“え、イケメンくんご飯作れんの?!?!”、と。

料理センスゼロの磯田も敗北感にうなった。

ここで知っておいて欲しいのだが、決して坂田は料理は作れても美味しい料理が作れる訳では無い。

今日のご飯だって大したものではなく、
野菜炒め(半焦げ)
焼き鮭(黒焦げ一歩手前)
味噌汁(妥協してインスタント)
ご飯(水分多め)
だ。

まともなのは味噌汁オンリー。

大丈夫か、この食事。

まあ、愛情はこもってる。

栄養バランスもばっちりやし！

多分大丈夫！ やと思う！

まあ別に食べられへんもんちゃうしな！

食べ物とかちょっと焦げるぐらい焼いても所詮食べ物やし!!!

そんな言い訳を心の中でしながらAを迎えに来た悠は自分の発言が磯田の反感を買っていることを知らない。

そして家のキッチンが悲惨なことになっていることをAは知らない。

『…もう分かったよ…
じゃ、皆おつかれ。

飲み会楽しんできてね！』

｢｢｢お疲れ様でーす｣｣｣

Aと悠がにこにこ顔でオフィスを出て角を曲がるのをしっかりと見届けた後、社員たちが叫ぶ。

｢は？なにあのイケメン？？
悠さん、だっけ？？
イケメンで性格よくて料理もできて独占欲強めとか性癖どストライクなんだけど。

しかも最後のあの牽制やばすぎない？

え？しかも？一ノ瀬先輩(推し)が？あのイケメン(推し)と？付き合ってる？
え、まって、いい……♛ ｣

｢わかりみが深い……

あの一ノ瀬先輩のあの笑顔みた？
めっっちゃかわいい、もう、かわいい…

は？何アレあたしらの上司可愛すぎじゃんね。
あんなに可愛い上司いていいの？
あーもう一ノ瀬先輩まじ愛してる……
推したい讃えたい崇めたい愛でたい撫でたいあわよくば姉にしたい…!!!

あーーもう無理、もう一生推すわ!!!｣

お嬢さんたち、少々言葉が乱れてますよ。

まるで神を見たかのように悶え出す女性社員たちに男性陣は少し引き気味。

まあ、ある意味推しという神を見たのだが、その感覚が男性社員には分からないようだった。

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