第五十四話_"織田作之助"と"坂口安吾" ページ16
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太宰とAはある酒場に入る
階段を降りるとカウンター席に一人、男が座っていた
太宰「やぁ、織田作」
A「!」
織田「太宰………」
あの倉庫以来の対面だった
織田は太宰の隣にいるAを見て「お前は………」と視線を向けた
織田「随分見違えたな」
A「……………」
太宰好みの服を着ているからといってもあの倉庫での印象と大分違うだろう
あの頃と違い、今は肌の色も善く、闇しか見ていなかった瞳も表情も穏やかに見える
太宰「あれ以降ずっとAのことを気にしていただろう?この子も結構この環境に慣れてきたから連れて来たんだ」
織田「そうか。其れはありがとう」
太宰「安吾はまだ来てないのかい?」
織田「嗚呼、来てない」
タイミング善くカツカツと階段を降りる足音が聞こえてきた
「お二人とも今日は早いですね」と眼鏡を掛けた男性が降りて来た
太宰「いや、私は今来た処だよ」
織田「俺も其処まで早く来てない」
安吾「そうですか。で、太宰君の隣にいるそちらの子は?」
不思議そうにAを見る安吾
太宰が此処に女の子を連れてくるとは思わず、ほんの少しだけ驚愕もしている
太宰「安吾はAと会うの初めてだったね。紹介するよ、彼女は里見A、私の部下だよ」
安吾「里見A………嗚呼、前に太宰君と織田作さんが対抗したという二人組のことですね」
太宰「そう。A、織田作は会ったことあるから知ってると思うけどこの人は坂口安吾。彼はポート・マフィアの情報員だ」
安吾「宜しくお願いします、Aさん」
A「…………」
Aと目を合わせるように膝を付き、手を差し出す安吾
だが、先程から言葉を発しない彼女に安吾は不思議がる
太宰「彼女は少し意志疎通が苦手でね。A、こういう時は握り返してあげたまえ」
A「…………」
太宰はAの手を掴み、安吾と握手をさせる
安吾が優しく握るとAもゆっくりだが握り返してくれた
織田作「俺は織田作之助だ。宜しくな、A」
織田も安吾と同じようにAに向かって手を差し出す
動かないAを見て太宰はまたAの手を掴もうとしたが………
「「「!!」」」
A「…………」
Aは初めて"自分から"織田の手に自分の手を乗せた
其れを見た織田は「偉いぞ」と優しくAの頭を撫でる
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みゆき(プロフ) - ショタ作さん» ありがとうございます!黒の時代の中で絶対に書きたかったお話の一つなので皆様の印象に強く残ってくれて嬉しいです😆😆 (1月8日 8時) (レス) id: 475a141bfc (このIDを非表示/違反報告)
ショタ作 - このお話めっちゃ大好きです!特にのどかさんと同じで私達が君の名前を呼ぶよって所が印象的でした。これからも頑張ってください。 (1月8日 1時) (レス) id: 916af5240f (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - 明日羽さん» 本当にすみません。またやらかしていましたか😭😭😭すぐに直させていただきます!! (2022年9月18日 22時) (レス) id: 475a141bfc (このIDを非表示/違反報告)
明日羽 - 「第八十四話_彼が友達だから」に主人公の名前がくるであろう場所につぼみという名前(?)があるんですが誤字じゃないですか?間違っていたらすみません<(_ _)> (2022年9月18日 21時) (レス) @page47 id: 60a89d6d9f (このIDを非表示/違反報告)
みゆき(プロフ) - のどかさん» そう!そうなんです!実はこの黒の時代を読み終わった後にアニメのエンディングを聞いてもらうと4年後の里見ちゃんの心境が語られているようにしたかったんです!!二重の意味で泣かせにいく構想になっているんです!! (2022年8月7日 16時) (レス) id: 475a141bfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆき | 作成日時:2021年1月30日 23時