よし、番外編へ行こう。と思った今日この頃。【文スト】 参。

惰眠・霧雨様リクエスト ページ38

どうにも、どうにも気力が湧かない日っていうのがある。

勿論それは私だけじゃなくて、他の人物にもそれは云える。そんなことはない、なんて断言できる人間が一体どれだけいる？ 少なくとも私は見たことがないし、もしそんな風に云える人がいるのなら、それはその日が訪れるのがまだ未来なだけってことだ。


迂遠な云い回しをしたが(もはやこれはクセなので勘弁してもらいたい。本題に入るのが遅いというのはとっくに自覚済みだ)、──要するに今日がその日だということである。

無論、学校みたいな処ならば別に行かなくたって良いだろう。ただ仕事だとそういう訳にもいかない、というのを理解してもらいたい。



「で？」

『いや、あのだからちょっと、そういう訳でですね』

「で？ 居眠りしてたことの言い訳はそれだけなのか、と訊いてるんだが？」

『まッこと申し訳御座いませんでしたァ──ッ！』



何となく仕事に気が乗らないでぼーっとしてしまい、気付いたら額に青筋を浮かべさせた国木田さんに叩き起こされていた。

国木田さんにそういうことないんですか、と一縷の望みに縋る思いで問う。返答はにべもなく「ない」だった。半泣きになりながら苦笑している敦君にも同じ問いを投げかけると、「暇な日なんて、ほとんどなかったから」と返って来た。



「最初からそう云っておけばいいものを……、グダグダ何を並べているんだ。というか何だその顔は」

『もはや怒られることすら面倒だなって』

「貴様次から仕事の量倍だからな』



真顔で云った国木田さんの言葉に嘘はなさそうだ。絶望した表情を浮かべる私とは相対的に、太宰さんが面白可笑しそうな口調で「私はあるけどねえ」と云う。


その場にいた全員が「それはいつものことじゃないのか」と云いたげな顔をしたので、太宰さんは納得が行かなそうに口を尖らせ、



「いやだなあ、私だってやる時はやってるさ。ただ」

「ただ？」


「それが大体一年に一回ぐらいなだけで」


『頻度が少なすぎる！』




叫ぶ私。ドヤ顔で宣った太宰さんを国木田さんが叩いて気絶させたことで、この騒動は終結した。

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