名探偵と踊ろうか 弐 ページ37
ガタタ、と私は椅子を鳴らして立ち上がった。バン、と五百円玉を机に叩きつけて、その場から慌てて駆け出す。
「お待ちください、お客様。御釣りがありますよ?」
『ひいやっ……! あの、大丈夫です、募金します』
「いや何に……? いいですから、お客様。少し落ち着いてお待ち下さい。それと──」
後で連絡先をお聞きしても、宜しいでしょうか?
耳元でダイレクトにそう云われ、ひ、と喉が引き攣る。声色に乗せられた少量の殺気──本人は気づいてないだろう──に動けなくなる。私は感じ取るのは上手いけど、耐性が無い。下手な一般人よりカスって事だね!
『……は、い』
震えながら零した言葉に、彼は満足したように頷き──
私は回れ右をし全速力で入り口を目指した!
「……っは!?」
『バーカバーカ! 誰が手前なんかの云うこと聞くかバーカ!』
凄い莫迦っぽい台詞を吐き捨てて私は扉を開けた。途端、其処に居た少年に足をとられ転びそうになる。
足をもつれさせながらもその少年を見ると、
『新ッ……!』
「────な」
まさかの主人公とエンカウント。全く嬉しくねぇよ畜生。
:::
『ぜえ……はぁ……』
落ちてくる大粒の汗を、私は服の裾で拭った。どんだけ走ったと思ってんだ、クソ。
……取り敢えず、コナン君家に泊まることは無理になりましたな。
はああぁぁぁぁぁぁぁ……とクッソ長い溜息を吐いた。マジ如何すればいいんだよー、無理だよー……。
と心がめっさ沈んでいった瞬間、「ひったくりー!!!!」との大声……いやでっか。凄い大きかった。
ば、と顔を勢いよくあげると──ザ、ひったくりが居た。凄く苛ついてたもんだから、私は思い切り叫びながらひったくりにタックルした。瞬間。
「えっ」
『エッ』
制服姿の蘭ちゃんが放った蹴りが見事私の側頭部に命中。
昏倒。世界が七色に染まった。
:::
『……ぶはぁ!!』
「キャア!」
がばっと身を起こすと、知らない部屋──いや、違う!
速攻で辺りを確認する。整頓された机、私服姿の女性、キザったらしい少年、髭親父、自分にかけられた毛布、窓にある裏返しの文字──。
毛利探偵事務所。
「目覚めましたか!? 済みません本当に、」
『ッッ!!』
蘭ちゃんの言葉を聞き終わる前に私はソファから飛び上がって駆け出す。
そしてコケた。
「……お姉さん、大丈夫?」
『……少年、気を使ってくれてありがとう』
名探偵と踊ろうか 参→←名探偵と踊ろうか・夜凪由姫様リクエスト
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とあるアニメーター - マジですか!!!ありがとうございます!お願いします! (2020年1月21日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» へえーいいですねえ!やらせて頂きますとも、何かかなり滅茶苦茶な展開になりそうですが……(笑)。 (2020年1月21日 18時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - そうですか!良かったです!リクエストで、そうだ、番外編作っちゃおう!と思った今日この頃の第3段を記念して…。みたいな感じで、今日この頃シリーズで出てきた文ストキャラ達をたくさん出してほしいです!こちらも長めになって良いので、よろしければお願いします! (2020年1月21日 18時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - とあるアニメーターさん» ええ勿論!ちょっと遅くなるかもしれませんが番外編もとうとう三!……ひええマジかあ。 (2020年1月21日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
とあるアニメーター - この番外編、続編行きますか? 続編作って頂けたら、またリクエストしたいです。 (2020年1月20日 21時) (レス) id: 6c92e05c62 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作成日時:2019年7月6日 21時