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第49話「黒髪おさげの少女」夢主 ページ50

「ま、まだ購うんですか?」
「落とすンじゃないよ?落としたら__」
「お……落としたら?」

恐る恐る、といった表情でそう問いかける敦くんに、与謝野姉さまはニヤリと笑う。
……すると、敦くんは引きつった顔で笑い返していた。

「……私もやっぱり、少し持とうか?」
「否、大丈夫……気にしないで。それにAちゃん、クレープ食べてるし。」
「そう?なら良いけど……。」

私が与謝野姉さまの服の裾を少し掴みながら、振り向いてそう問いかけると、敦くんは優しく笑ってそう答えてくれる。
……因みにこのクレープは与謝野姉さまが買って下さったものである。

「いろはは甘味が好きだからねェ。幸せそうに頬張ってるのを見ると妾まで幸せな気持ちになってくるンだよ。」
「そうなんですか?嬉しいな。だって、私が幸せになるだけで幸せが広がるなんて、手品(マジック)みたい!」

私がそう笑うと、与謝野姉さまは優しく笑って私の頭を撫でて下さる。
そんな会話をしていると……敦くんは、和服を着た黒髪のおさげの少女と一瞬、見つめあっていた。
……その瞬間、通行人とぶつかってしまったらしく、敦くんは慌てた声をあげる。

「うわわわっ!」

バランスを崩した荷物から、檸檬が零れ落ち、ごろごろと転がっていく。
……すると、運悪くそれなりに良いスーツを着たおじさんの足元に転がっていき、そのおじさんは転んでしまった。

「ウォウッ!?」
「あーあー。」
「あちゃー……。」
「うわっ!大丈夫ですか!」
「どうしてくれる!欧州職人(デザイナー)の特別誂えだぞ!」

慌ててそう云う敦くんに、おじさんは恥ずかしさと怒りでワナワナと震えて、怒り散らしている。
私と与謝野姉さまは其れを呆れたような顔をして見ていた。

「す、すみません、ホントに……。」
「ご容赦を。お怪我は?」

真っ青になってそう謝る敦くんとおじさんの間に入って、綺麗な笑顔を見せる与謝野姉さま。
……怪我してたら異能使うつもりだな、この人。
何て思いつつ、私は真顔でスラスラと感想を伝える。

「……おじさん。その職人、凄く無名な才能無い人じゃない?その生地、スーツには向かない……というか才能有る人は絶対使わない生地だし、デザインも悪い意味でありきたりだし、安物っぽさが漂ってるけど?」
「いろはちゃん?」

そんな私に、敦くんは怪物でも見るような「信じられない」といった表情で私の名を呼んだのだった。

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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時

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