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第33話「第二の被害者」中島敦 ページ34

「だからこそ、素人上がりの探偵などに任せられん。さっさと__」
「おーい、網に何か掛かったぞォ!!」

乱歩さんの言葉に、刑事さんがそう言葉を零したその時、そんな声が聞こえてくる。

「何です、あれ?」
「証拠が流れていないか、川に網を張って調べているのですが__」
「ひっ、人だァ!」

その言葉に、周りはざわつき始める。

「人が掛かってるぞォ!」
「何だと!」
「まさか……」
「第二の被害者!?」

そう、身を固くする僕と刑事さんとは対照的に、いろはちゃんは僕から離れて、網の方に走っていく。
その横顔が、僕には少し嬉しそうに見えた気がした。
少し、ほんの少しだけ……残念だな、何て思ってしまう。

「やぁ敦君、いろは。仕事中?お疲れ様……っていろは、抱き着くのやめた方が良いよ。いろはの服が濡れるから。あとちょっと力入れすぎ……痛い!痛いよいろは!」

逆さに吊られたままの太宰さんを、いろはちゃんは強く抱きしめている。
如何やら探していた「何か」は太宰さんだったらしい。
いろはちゃんは迷子になっていたけれど親と再会できた幼子のような表情をしていた。

「それで……。ま……また入水自i殺ですか?」

そう、半分呆れながら聞く僕に、刑事さんは後ろで「また……?」と、軽く混乱している。
太宰さんはというと、いろはちゃんに服についた枯れ葉なんかを取り除かれながら、うふふ……と、格好つけて笑っている……が、正直あまり格好良くは見えない。

「一人で自i殺なんて、もう古いよ、敦君。」
「え?」
「前回、美人さんの件で確信したよ!矢っ張り死ぬなら心中に限る!独りこの世を去る寂しさの、何と虚しいことだろう!……というわけで、一緒に心中してくれる美女募集。そうだ!いろは、一緒にどうだい?」
「他のお願いなら何でも聞きますけどそれだけは絶対嫌です。この世界にはまだ私の知らない世界が広がってるので。全てを見た後なら良いですよ。」
「それまで待てって云うのかい!?いろはは残酷だね!?」
「それが厭なら他の方を当たって下さいね、太宰さん。お相手の方はともかく、太宰さんは絶対に死なせませんけど。」

ニコニコと笑いながら、いろはちゃんは太宰さんのお誘いを断っている。

……何というか、いろはちゃんは太宰さんのお願いなら、どんな事でも聞くんだと思ってたなぁ。
僕は一人、ぼんやりとそんなことを考えていた。

第34話「恋人ごっこ」夢主→←第32話「山際さん」中島敦


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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時

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