第30話「お帰りなさい」夢主 ページ31
国木田さんが最後の一人を投げたのとほぼ同時に、ドアが開き、敦くんが慌てた様子で「やめろっ!」と叫びながら現れた。
「おお、帰ったか。」
そう云いながらとどめを刺す国木田さんを、敦くんは凄い顔で見ている。
「勝手に居なくなる奴があるか。見ての通りの散らかりようだ。片付け手伝え!」
「国木田さーん、こいつらどうします?」
「窓から捨てとけ。」
そんな会話を目の前でされ、敦くんはぽかん……としている。
「ははっ、最初はそうなるよね。私もなったよ。」
「でも、国木田さん凄く焦ってて……!!」
「嗚呼、それは焦ってるんじゃなくて只のストレスだよ。襲撃の後の苦情対応に対する、ね。」
静かに笑って見せる私に、国木田さんは不満そうに「これだから襲撃は厭なのだ……。」何て文句を言っている。
「しかしまぁ、この程度いつものことだがな。」
「出費凄いですよねぇ……。」
「嗚呼、まぁ暁が来てからかなりマシになったが。」
そんな会話を、敦くんは顔を青くしながら見ていた。
すると、乱歩さんが国木田さんに仕事に出ることを伝える。
……と、ぽかん……と放心状態の敦くんと、ようやく掃除を始めたばかりの私と、そういや爆破したのを見に行った直後から姿が無い太宰さんで手伝う事になっていた。
「おい、呆けてないで準備しろ。仕事は山積みだ。太宰も探して連れてけ。どうせその辺の川を流れてる」
そう、優しく肩を叩かれた敦くんは、安心したように笑いながら、涙を零した。
「は。……はは。」
「あ?何だお前、泣いてるのか?」
「泣いてません。」
「泣いてないのか。」
「泣いてません。」
「…泣いてるのか?」
「泣いてます!」
国木田さんに絡まれている敦君に、私は袖を少し引っ張り注意を引く。
「……何か、云う事有るんじゃない?」
「……云う、事?」
「うん。此処に、帰って来たんだから。」
「あ……。」
私は笑って、言葉を待つ。
「……ただいま。」
「お帰りなさい、敦くん!」
泣きながら笑った敦くんを、私は優しく抱きしめたのだった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
24人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時