第23話「改めまして」夢主 (新ver) ページ24
「そう云えば、私達って自己紹介……ちゃんとしてなかったよね?」
私が敦くんにそう云うと、敦くんもそう云えば、と頷く。
……矢張り、敦くんが一向によそよそしいのは……私が「いろはちゃん」なのだと気付く様子も気付いている様子も無かったのは、其れが理由だったらしい。
流石にそろそろ私を私として認識してもらわなくちゃ居心地が悪い。
其れに友人に友人だと思われていないままなんて寂しい。悲しい。
だから、全ては口にしないけれど気づいて貰えるように、と言葉を練る。
「では、改めまして。……暁いろは、18歳。生まれはここヨコハマで……小学生の途中まで、正確には孤児院に入るまではこの近くで暮らしてたの。好きなものは戌と甘味。宜しくね、敦くん。」
私は何時かの様に微笑んで、右手を差し出す。
敦くんはやっと理解したらしく、差し出した右手と握手をすると、少し照れ臭そうに笑った。
「……じゃあ、僕からも。中島敦、同じく18歳。生まれは判らないけどあの孤児院で育った。好きなものは茶漬けと蜥蜴。よろしくね、“いろはちゃん”。」
少し恥ずかしそうに微笑む敦くんの私の呼び方が「いろはさん」なんてよそよそしいものじゃあなく、懐かしく親しみのあるものに戻っている事に気が付いて、私は笑みを溢す。
「もういちど、友達としてやり直そう、いろはちゃん。」
「今度こそ、一緒に沢山笑おうね、敦くん。」
少女と少年は向かい合って笑い合う。
まるで、やっと逢えた友人に少年と少女のように幼く、明るく。
嘗てのように、と笑い合う二人だが、二人はもう嘗てのように幼くはない。
其れが意味するのは、果たして________。
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折角の機会だったので当時からあまり気に行って無かったこともあり、25話のみ書きなおさせて頂きました。
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業猫(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます……修正しますので少々お待ちください;; (2020年6月4日 23時) (レス) id: 3f4322bc19 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 名字を設定しても、(名字)のままなんですけど.... (2020年6月4日 23時) (レス) id: 63ee3bf45b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年5月20日 18時