241:うしさせ ページ20
目が覚めると彼がよく寝たねと笑っていて、遅めの昼食を一緒に取って三人が帰ってくるのを待った。
「大丈夫かな?」
遅くない?と予約したと言われてる時間から二時間も経っていることに不安で仕方がない。
何かあったんじゃないのかと彼を見ると、そう?と何事も無さそうな顔をしている。
「あいつらやし、相手は人間やで。大丈夫」
姿は見せへんって言うてたし、と呑気に食器を洗ってくれている姿を見るとそうなのかなぁと納得してしまう。
テレビでも見て気を紛らわそうとチャンネルを変えていた時、窓が叩かれてさかたんが姿を現してリビングにみんな揃った。
「大丈夫?何も無かった?」
「遅なってごめんね。大丈夫」
慌てた様子の私に落ち着いて、とうらたんが背中を撫でてくれる。
「で、どうやった?来た?」
キッチンから彼が戻ると三人は一斉に首を振った。
「誰もけーへんかった」
はぁ、とまーしぃがため息をつく。
「しばらく待ってみようって粘ったんだけどな」
「予約もAちゃんの名前でされてたから、結局相手の名前もわからんかったんよ」
ごめんねと謝るさかたんに申し訳なく思う。
「結局誰か分からず終いかぁ、、、」
彼の言葉に皆口を噤むと、リビングはシーンと静まり返った。
そんな雰囲気の中、我慢できずくしゃみをすると一斉に視線を浴びてしまった。
彼は慌てて何処かに行ってしまうし、三人には大丈夫かと迫られて焦ってしまう。
「センラ、大丈夫だから」
「あかん。心配やから」
寝室のクローゼットから取ってきたらしいカーディガンと薄手のブランケットを膝に掛けられてしまった。
熱も一応測ろうと体温計を取り出す後ろ姿に、過保護だなぁと頬が緩んでしまう。
「出たぞ、最強過保護彼氏」
「あまあまの大甘大魔人や」
「相変わらずやなぁ」
くすくすと三人がその姿を見て笑い合っているのに彼は何か悪いかと怒りながらも言葉とは裏腹に私の身体に触れる手は優しかった。
「進歩がなくて残念やったけど、行かへんかった事でまた何か言うてくるやろうなぁ」
「それらしい奴もいなかったし悪戯だったんじゃねーの」
試しただけかもよ、と言ううらたんにとりあえずどうせ送られてくるだろう手紙を見ようという話になったけど、あれだけ毎日送られ続けた手紙は届かなかった。
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時