これが学畜 ページ38
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「それ如何やった?」
そう石川さんが聞くと、彼は無言で自分の髪の毛を抜き取り、机の上に置いた。
すると、異能発動時特有の光が髪の毛を包む。
「……ワーオ」
「便利な異能だわ……」
髪の毛があった場所には、コップ一杯の水があった。
これで彼の異能が大体わかった。
「……臓器を金に換えるってこういう事ネ」
組織でしていた事を具体的に聞いたら、臓器や宝石を金に換えるなどと返って来たらしい。
商人に持っていくとかじゃなくて自分で遣るパターンだった。
まあ、とりあえず。
「異能持ちってことはうちに入れるので、今日から貴方はポートマフィア」
「ポートマフィアへようこそ〜」
私とレマルクさんが彼の足枷を外しにかかるのに、石川さんが適当だな、と苦笑する。
多分ポートマフィアで一番ノリ軽い組織だと思う。
太宰幹部の所なんて失敗したら即首飛ぶからね。
当のレフ・トルストイは、訳の分からない顔で戸惑っている。
足枷を外しても動く気配が無かったので、レマルクさんが無理矢理手を引いて立たせていた。
「とりあえず風呂入ろうヨ!」
「お、れは……」
「つべこべ言わないノ!!」
バタバタと出て行った二人の背中を見ながら、石川さんも伸びをした。
「ぼくも入ろうかな。徹夜続きだったし」
「……そうだな」
一気に緩んだ二人に、私は続くことができない。
何故なら。
「学校行ってきますね!!!!!」
元気よく挨拶をして、鞄を背負い駆け出す。
今は午前七時。
急げば全然間に合う。
いってらっしゃい、という石川さんの声を背に、昇降機のボタンを連打する。
途中で中也さんと太宰幹部に出くわした。
最悪の朝だなーと思いながら地下へ向かう二人に礼をして一階で降りる。
七時十二分の電車に乗りたいので、全力で駆けだした。
「いってらっしゃーい」
「おい気ィつけろよ!!」
「はい!!」
「元気だねえ君んとこの安部君」
「……あれで二徹明けとか信じらんねェ」
「あの真面目さ君も見習ったら?」
「手前其れ云える立場だと思ってんのか???」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時