story43*武装探偵社と私 ページ48
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「お呼びでしょうか、ふくざ……社長」
ノックをし、社長からの返答を待つ。
すぐに「入れ」と短い言葉が聞こえてきたので、私は静かに扉を開けて社長室へ入った。
「あの……どうかされましたか?」
内心ビクビクしながらも、それを絶対に態度に出さないようにしながらそう問う。
少しの沈黙が気まずい。真っ直ぐに私の瞳を見つめる社長を、私は黙って見つめ返した。
……やましいことは、ない。
「お前に話しておかなければならないことがある」
「え?」
唐突な喋り出しは、予期せぬものだった。
話しておかなければならないこと……心当たりがあるならそもそもそんな言い方にはならないのだろうけど、全然なんのことかわからない。
「それは……どんなことなのでしょうか」
神妙な顔つきの社長。その重苦しい空気に耐えきれずに私はゴクリと生唾を飲み込んだ。
まさか仕事で楚々をしてしまい社の信用を落としてしまったとか!?
そ、それはだめだ……クビ宣告なんてされた暁にはショックで三日三晩寝込んだ後ビルの屋上から飛び降りて死んでしまう。
「も、申し訳ありませんでした! 今後はこのようなことは無いようにするので、どうか、クビだけは……」
私は社長が発言するよりも早く、頭を下げて謝罪する。
だめだ。自分の何が悪いのか理解していない謝罪はしない方がましだ、と言われたのに。
またもや沈黙が走り、そして静かに社長が口を開いた。
「心当たりがあるのか?」
「……あ、ありません」
「そうだ。お前は探偵社員としてよく仕事をこなしてくれている。心配せずにこれからも精進して欲しい」
顔は怖いけど、その言葉はとても優しいものだった。
ずっと憧れていた恩人さんからの、労いの一言。
「……はい! ありがとうございます!!」
天にも舞い上がりたくなる気持ちを抑え、私は精一杯の笑顔でお礼を口にした。
___しかし。
それでは本題がわからない。私は一体なぜ呼び出されたんだろう。
分からずにいると、先ほどよりも眉間の皺を濃くした社長がとんでもないことを告げた。
「お前は優秀な社員だ」
「え?」
「……ゆえに、この状況を看過することは到底できないとの判断を降した。これは、私の決定だ」
「……何が、あったんですか?」
「ポートマフィアの首領から、お前の身柄を引渡して欲しいとの通達が来た」
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鈴蘭(プロフ) - ウナさん» 私も書いててひえええってなってます笑(?) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - みそしる大臣さん» そんなドキドキをお届けできているなんて嬉しい限りです(^^) (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - SAKA0829093さん» ありがとうございます!ダラダラ更新で本当すみません… (2019年4月30日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - もうヤバイですマジでもうヤバイですよ!!!!ひええええってなります(?) (2019年4月3日 19時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
みそしる大臣 - 夢主より僕の方が早くキュン死にしそうだ…心臓が持たない! (2019年3月30日 23時) (レス) id: 487407bef1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2018年5月25日 1時