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(…あ、今日は、)
＊
バスの揺れが止んだすぐ直後のこともあり、私は簡単に彼から逃げることは困難だった。胸の中に収まっていた。何せ女子高育ちの私にはこんな展開も待ち受けているとは知らず。ただ囲みに言うと彼のギターも私の胸の中に収まっていた。眠っていたはずの彼はしっかりと目を開けてこちらを愉快に見上げてる。たぬきちゃんがギターに乗る。いつまでも目をお互い見つめる理由もなく、私はやけになって彼の見所を避ける。いつから、聞こえていた？いつから、私を知っていたの、君。
「いつも朝、会うよね」
「そ、ですね」
「いつも見てるよね」
「ギターを見てますね」
「俺じゃなくて？」
いかにも楽しげな心情が読み取れる彼だし、私に目を向ける視線は何となくおかしい。男女の何かってそんなものでしょう。いたたまれない状況でたぬきちゃんを見ている。髪の毛をくるくると指先で遊ばれるも、視線を合わせたら終わりな気がしてならない。私が終わる停留所まであと少しのところ。ギターが微かに揺れる。ピックが落ちそうになる。心、知られたっぽい。
「あなたの事は見てないのでご心配なく｡彼女になりたいとかこれっぽっちも思っておりませんし」
やや早口で発した言葉に自分で矛盾を感じながらも､停留所が近くなり彼から離れようとしたかった私だが。呆気なくも1度動いた体をもう1度掴まれ、今度は彼に…なんだかこれ抱きしめられてるみたいじゃないか？顔に熱が女子特有に集まる。私もまだまだ女の子。たぬきちゃんが彼を見つめる。降り口が閉まった。バスが発車する。あっ。空虚な声が彼に届く。
「ね、こっち向いてよ」
「俺も、君がうらやましい」
これ､きっと何かの始まり。おそるおそる視線を合わせた私の頬は、きっと薄い赤が滲んでいる。…怒ってます。
今日からお互い反抗中。名前も知らない君と攻防戦。甘ったるい恋愛と青春の流行りものの曲、早く流れてよ。
勝手に反抗期
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なのなの-VII(プロフ) - 以前から気になっていたのですが、時間がなく、やっと拝見させていただくことができました。私の少ない語彙力では、気持ちを全て伝えることができないことが悔しいです。なので、一言だけ。とても、素晴らしかったです。 (2019年12月9日 23時) (
レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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