CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ7)

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9.拝啓、優しく愚かな君へページ7

翌朝。いつも通り起こされたし、着替えてキッチンへ行くと彼は既に朝食の準備をしていた。

「…なんか、いつもとあんまり変わってないね」
「ま、別にやる事は変わらへんし？」

ニッコリと笑った彼は「はい、今日は小倉トースト」と椅子に座った私の目の前に出来立ての、こんがり焼いた分厚いトーストの上に、たっぷりの餡とバターをひとかけら乗せた、それはそれはとても美味しそうな小倉トーストを置いた。

…ありがたくいただくとしよう。

「おはよ～、って美味そうなん食っとるやん」
「む、おはようございます志麻さん」

トーストを頬張っていたらキッチンに現れた志麻さん。私の小倉トーストを見て目を輝かせている。…どうやら彼は甘いものを好むらしく、私と留守番の際にも彼がコーヒーを淹れて戻って来る際には、彼のコーヒーだけ色がどう見ても薄い。

たまたまキッチンで一緒になった際には、信じられない量の砂糖を入れていた気がする。そんな彼はやはり、私が食べているものより甘いものを望むらしく。

「俺、ホイップ乗せたやつがええ」

とんでもない甘党だな、とコーヒーを啜った。ほら、作っている本人も少し引いている。「…どんくらい乗せる？」と言う彼と、「もうちょい」と何度も言う志麻さんのやりとりが何だか可笑しい。

そうこうしているうちに、キッチンに皆が集まってくる。最近では私に感化されたのか、彼らも食べ物を口にすることが多くなったような、そんな気がする。

…皆して小倉トーストに乗ったホイップの量に引いていたのは、言うまでもないだろう。

いつも通りコーヒーを淹れるうらたさん、そんなうらたさんに何かご飯を作ってくれないかとねだる坂田さん。もう見慣れた景色である。

全員が同じテーブルを囲み、談笑しながら朝食を食べるこの状況は、少し前では信じられない光景だっただろう。小倉トーストの最後のひとくちを口に入れ、味わって「ごちそうさまでした」と手を合わせた。

「あ、A、何か飲む？」
「うん、ありがと、センラくん」

やっぱり気を利かせてくれる彼。素直に空になったマグカップを渡そうとすると──

ガチャン。ボタ、カシャン。

後ろからいろんなものを落とした音が。思わず振り返ると、空のコーヒーカップを落としたうらたさん、ホイップたっぷりの小倉トーストをお皿の上に落とした志麻さん、フォークを落とした坂田さんが信じられないような顔をしてこちらを見ていた。