�供�14.無垢なる白 ページ43
国立技術開発局には丁度セキュリティが入れ替わる時間が存在する。監視カメラによる記録に加え、人間の目視によって不審者の侵入を阻止する。
監視カメラによる記録は誤魔化せなくとも、そこにいる人間さえその場しのぎで騙せれば問題無い。監視カメラの映像をチェックされたとしても、研究棟を出た後であればなんの問題も無い。
人間のセキュリティが入れ替わる時間、その前に侵入し、なるべく情報を隠せるように──足がつかないように乗り込む。
「…行くぞ」
無事に敷地内への侵入に成功した私達は、研究棟近くまで足早に向かっていた。出歩いている者は皆無に近いがなるべくここに雇われている者に目撃されないようにしながら、慎重に歩みを進める。
「人、全くいませんね」
「あぁ、まあ、侵入するならベストな時間だしな」
以前の侵入の際に敷地内のことを全て把握していたのか、うらたさんは私と同じように道選びに全くの迷いを見せなかった。
その彼が『侵入するのにベストな時間』だと言うのであれば。では、あの時何故明るい時間に──真っ昼間に私を拉致しに来たのだろうか。
「…前から思ってたんですけど、何で私を拉致しに来た時あんな派手にやったんですか？」
「お前、自分が住んでた場所のセキュリティについて知らなかったの？」
疑問に疑問を返された。えっ、と言葉に詰まる。自分が住んでいた場所、あの部屋。特に出入りにカードキーや権限等は要求されなかったような。
ただの普通の部屋だ、むしろ設備も整っていて、少し不満があるとすれば窓がない、それくらいの部屋だ。首をかしげると、彼は私の顔を見た後に溜息をついて。
「お前が寝泊まりしてた場所、深夜帯になるとセキュリティレベルがメチャクチャ上がって入ってくる奴に対してかなり厳しくなんの。あそこのセキュリティ解除して拉致するより、圧倒的に昼間に研究棟内引っ掻き回してお前連れてくる方が楽」
彼が一息で話した、その事実に驚いて。全く知らなかった。深夜に部屋に戻ることはあれど、出ることは無かったから知らなかった……いや、訪ねてくる者がいなかったから、知らなかったのか？
というか、あの区画に何か重要な施設は存在していなかったような。私の部屋の付近は基本空き部屋や空いている研究室ばかりで、特に何も──
そこまで考えて、少し先の灯りに目が留まる。懐中電灯──警備員か。
「…隠れるぞ」
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結月。(プロフ) - この作品と出会ってから一気読みするほどめちゃくちゃ大好きです。作者様のペースで構いませんので、更新楽しみに待っております。 (2022年2月10日 2時) (
レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#N/A | 作成日時：2021年11月24日 21時
