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「そういう訳やけど。どうする？」
私と志麻さんからの報告を聞いたうらたさんは、先程の志麻さんと同じように眉間に皺を寄せ、苦虫を噛み潰したような顔をして。当然だ。当初想定していた予想の外、それも一番面倒な展開になってしまったのだから。
犯人は研究棟の人間だろうと予想していたものの。それがまさか、国の権力下にある重要な人物の仕業だったとは。
「何、俺らなんか悪いことしたっけ？」
「──まあ、日夜警察に追われるような事はしていますね」
言葉に詰まった四人。私の後ろからはセンラくんの苦笑いが聞こえてくる。確かに彼らは立派なテロリスト集団だが、民間人の命に関わる事態は引き起こしていないのが現状である。今の粗悪品騒ぎ絡みで重症の患者が出ているのだけれども。
それこそ研究棟が絡んでいるのであれば、私が拉致された事と関係があるのかと一度は考えるかもしれないが──。
彼らは粗悪品に困った為、私をここに連れてきたのだ。ということは、例の男性、もしくはその上の立場の人間の『個人的な恨みを買った者がUSSSの中にいる』と考えるのが妥当だ。
国家が国民に害を及ぼす方法で彼らを裁くとは思えない。多分、真犯人の独断で行われている。研究者から恨みを買うとすれば、心当たりがあるのは。
「…うらたさん、以前研究棟に勤めている人間の恨みを買った、とかそういう事はしてないですよね？」
「公務員連中にはねーな。アングラの奴らからはあるだろうけど」
研究者に近い、一番有り得そうなのは彼だが。ここまでハッキリと『ない』と言われるとこれ以上の追求は無駄になりそうだ。──とにかく、原因が不明でもあの粗悪品の出処は研究棟の幹部、もしくはその上の立場にあたる研究所長であるということに違いは無いだろう。
あの男性が非合法組織に出入りしているなら、その線から恨みを買ったという事も有り得るのだろうが。そちら側に詳しいであろう四人が何も言わないのであれば、その可能性は薄い筈だ。
「恨み、ねぇ」
私の隣に立っていた志麻さんがぼそりと呟いたが、一度腕を組んで何かを思い出そうとした素振りを見せた後、すぐにそっぽを向いて組んだ腕を解いてしまった。…、少し、気にはなるが。ここでの詮索は無意味だろう。
他二人も心当たりは無さそうで、考えることよりうらたさんの次の言葉を待っている、という様子。さて、原因不明の中彼が選ぶのは──
「研究棟に乗り込むぞ、直談判だ」
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結月。(プロフ) - この作品と出会ってから一気読みするほどめちゃくちゃ大好きです。作者様のペースで構いませんので、更新楽しみに待っております。 (2022年2月10日 2時) (
レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#N/A | 作成日時：2021年11月24日 21時
