CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ37)

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「……指定禁止毒物の中に、粗悪品の中身に該当する物質は発見されなかった」
「そ、んな」

最後の希望とも言える可能性が潰えた。止めていたナイフとフォークを持つ手から力が抜け、静まり返った部屋に陶器と金属の擦れる音が響く。

該当無し、ということは。もう打つ手が無いと──そういう意味になる。

「…今のところは、完全に打つ手無しだ」

暗く、沈んだ一言が胸に突き刺さった。完全に手詰まり、そう彼の口から発せられたという事実が重くのしかかる。まだ諦めないと、そう言ってくれるだけでもいいのに──

──、待て。彼が試した指定禁止毒物のリストの事を一度思い出せ。そしてあの機械が初期から反応しない、毒物や劇物のリストの事もだ。何か、何か手がかりはあるはずだ。

「…うらたさん、以前使用する禁止毒物のリストを見せて貰ったと思うんですけど、それとは別に"盗ってきた薬品のリスト"って持ってます？」
「──あ、あぁ。持ってるけど」

彼が差し出した携帯端末には、彼らが研究室から持ち出した薬品のリストが映し出されていた。几帳面な彼らしく、しっかりと「写真」や「薬品名」以外にも「出処」や「効果」等が記されている。

──あった、これだ。

写真と瓶のラベルのみ。どこで作り出されたのかは不明、そして効果もわからない薬品──

「……これも、持ってきてたんですね」
「それ、まーしぃかセンラが俺が指定したのとは別に適当に持ってきちゃったヤツなんだけど」

「なんと。幸運ですね、志麻さんとセンラくんに感謝しないと」

少し首を傾げたあと、数秒後に納得したかのようににんまりと笑った彼。どうやら、私の意図を理解したらしい。そうだ、あの機械が初期段階で解析を拒むものは。

"国の指定禁止毒物・劇物"と、"まだ登録されていない、生まれたばかりの毒物・劇物"だ。

この、瓶にラベルだけが付けられて中身の実態は不透明なこの物質は──

……私の勤める研究室で、不慮の事故により誕生させてしまった"指定禁止毒物に匹敵する毒物"に他ならない。

それは、もうつい最近の出来事にあたる。その為に禁止指定されていなくてもおかしくない。事実、上長達はこの劇物の扱いに困っていたようだし。

──さて。知りたくない事実が明らかになってしまうかもしれない。自らの推理、勘の鋭さに今だけは嫌気が差した。