CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ29)

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12.本音と建前ページ29

「A、デート行くぞ」
「…はい！？」

振り返って見た彼の姿は、いつもの白衣ではなく──まるで普通の、どこにでもいるような青年の姿、服装だった。童顔故に服装からして学生のようにも見える彼…うらたさんは、リビングで呆けていた私を外に連れ出すと言うのだ。

今、ここまで来て、だ。ほぼ一か月程──経った頃なのだろうか、今まさに彼らが私を連れてきた、その目的を達成しようとしている目前に、である。

ここに来てから殆ど外に出ていなかった、いわゆる軟禁状態だった為、一瞬その言葉を疑う。出していいのかと。私の中にはもう逃げる気は無いが、USSSのリーダーの彼が当然のように私を外に出すと言ったのだから、もうある程度は逃げないと思われているのだろう。

…拉致してきた人間、というよりかはもう仲間として見られているようだし。

外に出す──というか、彼はデートに行くと言ったが。いいのか、ついこの前私に『お前わかっててやってんのか』と言ったのはうらたさんの方なのに。

…そういえば、『見られなかったら無い事みたいなもんだし』と言ったのも彼だった気がする。

驚きから記憶を回顧していたが、目の前の彼が「早く早く」と私を立ち上がらせて急かせた為、その思考を中断する他なかった。

そう、『見られなかったら無い事みたいなもんだし』というのは。本日、うらたさん以外の三人は所用で出掛けている。つまりは"見られない"ということ。

ちゃっかりしてるなあ、と彼が志麻さんに言った言葉をそのままそっくり返そう。そんな彼は私を自室まで押して行って、勝手にクローゼットを開けては服を引っ張り出している。遠慮は無いのか。

「これ。あとこれ、そっちも──」

ぽん、ぽん、ぽん。とあっという間にトータルコーディネートが完成、それを渡された。色味からして、彼が今来ている服と似ているような──本当にデートのつもりなのだろうか。

彼は「行きたくないから着替えないとかはナシだからね」と言うと部屋から出ていった。

…さて、どうしたものか。

どうしたものか、と考える暇も無く自室のドア越しに「はやく〜」と言う声が聞こえるから。ルームウェアを脱いで出掛ける準備をするという以外の選択肢は、結局のところないらしい。