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私は小さな影に手を伸ばした。
今にもそのまま溶けて消えてしまいそうで、実際に手を伸ばしても――と云っても精神世界のようなものの中に居る為『実際に手を伸ばす』という表現は正しくない――私の手の中で黒く泥のように溶けだしてしまった。

私も先程の光景(トラウマ)の所為でかなり精神が削られていたのか、意識が朦朧としていた。
私は彼に、太宰治に対して何を云ったのか思い出せない程にはぼーっとしていた。
只、目の前の影を掴むためだけに私は動いていた。

ねむい。つかれた。いたい。しんどい。
このままねてしまったほうが――。
私は精神が、心がぐちゃぐちゃになって、頭がぼーっとして、この世界の中でさえ意識を手放そうとしていた。

その時だった。
「たすけて」
とても小さな、蚊の鳴くような細い声が聞こえた。

それを聞いた私は無理矢理にでも意識を取り戻し、影の方へ走り出した。
腕を掴んだ。腕は溶けなかった。
私はそのままそれを泥沼の様な深い黒から引き摺り出した。
私が引き摺り出したものは、今の私と同じくらいの女の子だった。
痩せっぽちで、小さくて、大きな瞳は哀しい程に黒く濁っていた、が、その奥には今にも消えそうな光が見えた。

「そうか、君は――」
私はこの孤独な子供が何であるかすぐ分かった。
「『太宰A』で、それでいて『桃島A』か」

――元々『太宰A』は『桃島A』だったんだ。
『桃島A』の記憶の大部分が失われていただけで、私は私だったんだ。
『太宰A』は『桃島A』が次元を超えて生まれ変わった姿だったんだ。
『桃島A』が『太宰A』に憑依転生したわけではなかったんだ。

それなら『太宰A』が『桃島A』の最期を夢に見てしまうのも頷ける。
何故ならば、それは自分自身の前世の最期だったから。
『桃島A』としての意識が強いはずの私が、『太宰A』が考えていたようなことを考えるのも頷ける。
何故ならば、それは自分自身が考えていた事だから。
孤独に弱いのも、偽善者が嫌いなのも、他のことも共通してる点が多々あるのも。
『太宰A』のベースは『桃島A』だから。

普通、ここまではっきりした前世の記憶なんて持って生まれてこない。『太宰A』もその一人だったはずだが、色々な事が重なって、ここまではっきりと思い出したのだろう。

思えばあの日、『桃島A』がいきなり転生したと勘違いした日。
その直前に――。

泥→←気合いは入らず抜けるだけ



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治 , 転生   
作品ジャンル:アニメ
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サングリア - いえのきあさん» 判りました!定期考査頑張って下さい。私も今日から考査です…(´-ω-`) (2018年11月27日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
いえのきあ(プロフ) - サングリアさん» ありがとうございます!今はテストや課題があってなかなか更新できませんが頑張ります!終わりのセラフもテスト終わったらぼちぼち買うので、お待ちくださいませ! (2018年11月26日 22時) (レス) id: 75f23159f6 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 黒の時代…更新頑張って下さい! (2018年11月26日 16時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - 長くてすみません…(´-ω-`)出来たら2つ宜しくお願いします!更新頑張って下さい (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
サングリア - クルル、クローリーなどの上位吸血鬼に気に入られて心配される。吸血鬼にしようとしている。渚は四鎌童子、アシェラに出会い、話をしたことがある。四鎌童子と一緒に3年間行動した。渚はその事を覚えていない。かなり謎に包まれた渚の過去 (2018年11月24日 7時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢秋 | 作成日時:2018年2月10日 2時

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