◆第I章「死神と鬼」 01 ページ7
──一昨日未明、◯◯通りで発生した火事は昨日の午後、鎮火されました。火元と見られる一軒家が全焼、周囲の家三棟に引火する被害がありました。現在火事による怪我人はいませんが、火元となった家の持ち主であるエリック・ショート氏(43)とその家族3名が全員行方不明となっています。警察によりますと、何らかの事件に巻き込まれたのではないかと見て、調べを進めています。
今日の今朝届いた新聞。久し振りに派手にしてしまったので、見出し一面に一昨日の犯行が全面に張り出される事となってしまった。それもこれも全て、依頼人である腹回りに脂肪を蓄えたブランド呉服店の社長──ブランド、と言っても、イギリスではの話だ。世界から見れば、まだまだブランドとしての名は浅く、一部の成金セレブが買い付ける様な安っぽい商品が多い。何処かの伯爵曰く、「品が無く、美しくない」らしい──の要望である為、実行犯であるロベルティーネはこんなに派手な演出はしたくなかったのだ。だが、巨額の金を叩きつけられれば、嫌でもやらねばならない。これが社会の摂理であり、常識でもある。例え、それが普通の会社の社員であっても、彼女の様に殺し屋であってもだ。
既に依頼料の半分が支払われているが、後日新聞に載ればもう半分支払う契約の為、その内あの品が無く美しくない贅肉社長が此処にやってくるだろう。正直、粘着質な喋り方をするあの男が此処をもう一度訪れる事をロベルティーネは快く思っていない。事あるごとに皮肉とも取れる小言を吐かれるからだ。「女の癖に」の常套句から始まり、最終的には「どうせ色仕掛けだろ?」と捨て台詞を吐いて教会から出て行った事を、彼女は一字一句間違えずに覚えている。
今度来た時に殺してしまおうか。あのブランド呉服店を頑張って切り盛りした所で、どうせすぐに潰れて終わるだろうから。軽く下調べした際、その男が賄賂や売り上げの水増し等、数多くの犯罪に手を染めている形跡があった。その内警察の世話になるだろうし、今回の件についてもお前が罪を背負う事になるだろう。全てが終わる頃に、必ずそうなってしまうからだ。
何故なら、「無音の死神」等この世で見た者が居ない、都市伝説上の存在なのだから。その今度が来ない事を祈るばかりだが──さて、その
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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月18日 21時