二十四章 ページ24
『賢次郎様………賢次郎様………っ』
その日、賢次郎は夢を見ました。
蘭が、自分の首を絞めてくる夢です。
『蘭!なぜ、なぜ僕の首を⁉』
『なぜ、鈴を壊したのです………賢次郎様!』
『ああああああああぁあああああああああ‼』
悲鳴をあげながら飛び起きた賢次郎は、粉々になった鈴に視線をやりました。
鈴を壊してから、毎晩悪夢にうなされるようになったのです。
魂のみとなった蘭は、毎晩賢次郎の夢に入り込み、賢次郎を脅していました。
『蘭、蘭………‼許しておくれ、僕は蘭を』
賢次郎は空を見上げ、ゆっくりとその言葉を口にしました。
『僕は蘭を、愛していたんだよ』
そう云った瞬間、粉々になっていた鈴は、元の形を取り戻しました。
チリン…と澄んだ音を立てて、天へと昇っていく鈴。
『賢次郎様……私も、愛しておりました』
そんな言葉が、どこかから聞こえた気がしました。
それ以来、鈴は淋しき幽霊と巡り合う時のみ、その澄んだ音を立てると云います。
人のため………悪い霊が、蘭のように嫉妬に溺れる幽霊が、これ以上増えないように………。
鈴は、夏のために、その音を鳴らしました。
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茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時