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十八章 ページ18

『これは、鍵寺様が大切になさっていた、大宮家に代々伝わる秘宝だそうです。私と鍵寺様の間に子はありませんでしたから、きっと大宮家ももう終わり………最後に貴方に渡して欲しいと鍵寺様はおっしゃいました』

そう云って、少し名残惜しそうなおばあさんから渡されたのは、どこからどう見てもボロボロな鈴。
試しに鳴らしてみると、驚くほど澄んだ、まるでピアノの音色のような音が響いた。
『貴方は鍵寺様と私を繋ぎ合わせてくださいました。きっとその鈴も………貴方が次の時代へと繋いでいってくれるでしょう』

そう云われたけれど、私もう死んでるんだよ?
繋いでいくも何もない気がするけど………。
そうは思いながらも、断るのも気が引けた。

「夏君、その鈴どうするの?」
乱歩さんに押し付けられた書類にせっせと記入していると、飴玉を舐めながら問いかけられた。
「君が持ってたって意味ないでしょう、だって君は誰かに引き継ぐ事はできないんだから」
「そうかもしれませんが………私が持っていたいんです」
長い紐で結び、ネックレスのようにした鈴を、そっと握りしめる。

「ふぅん。それじゃあ行くよ、夏君」
「え、どこにですか?」
戸惑いながら訊くと、呆れたような顔をした乱歩さんが振り返った。

「決まってるでしょ?君の“過去”を見つけに行くんだよ!」

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茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時

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