15 ページ48
他愛もない話をしながらおやつを楽しんでいた五人の元に、仕事を終えたルークとアズールがやって来た。
アズールが改めて軽く自己紹介をしている最中、ルークはAの座っている椅子の背凭れを、二回だけ音を立てないように叩く。
器用に片方の唇の端だけを釣り上げて笑う彼を横目に、Aは満足げに目を細めてから紅茶を口に含んだのであった。
＊＊＊
時は進んで十九時、今から二十時までの一時間は話し合いの時間である。
今にも乱闘が始まるのかと錯覚してしまう程の、ピリピリと空気が充満している部屋の中、Aは普段と変わらない自然体で椅子へと腰を下ろした。
そして最初に口を開いたのは、勿論の如く彼女であった。
｢エイダンさんからの視線が鬱陶しいので言わせて頂きますが……私は村人陣営の狩人にございます。人狼ではありませんよ｣
ルークが撒き餌だと称したコレは、Aが己の役職を確認した際に一番最初に考え付いた作戦であり、他の面々が襲われる確率を下げる為のものだ。
今この場に存在している役職は村人、人狼、預言者、狩人の四つのみ。
人狼にとって厄介なのは、他人の役職を占って知ることが出来る預言者と、己以外の面子を保護することの出来る狩人の二人だ。
しかし、預言者は就寝時間にしか占うことは出来ない為、現段階で招待を明かしてくる可能性は限りなく低い。
そう考えると、己が狩人であると宣言したAが、深夜の襲撃時間に狙われる可能性が最も高くなるであろう。
現に今、とある二人の視線がギラついたのを彼女は見逃さなかった。
｢もう、誰を守るのか決めてあるの？｣
｢候補はお二人です。二十時以降に決定させて頂きます｣
｢ふぅん、そっか｣
｢なっ、何で！ 何でそいつが狩人だって信じれんだよ！？ お前らは初対面だし……NRCとRSAは仲悪いって言うじゃねぇか！｣
｢煩いよ、赤髪。……ボクはNRCもRSAも両方共に好きじゃないんだ。"Aさんだから"信用しているんだよ。ボクは彼女が村人陣営だって信じてるんだ｣
ノアとAが呑気に話していれば、苛立ちながらエイダンが割り込んでくる。
しかし、やはり他人に厳しいノアがその言葉を一刀両断して終わらせていた。
そんなこんなで話し合いを行っていくと、やはり最初に睨んだ三人が人狼である証拠が集まってくる。
そっとルークとアズールに視線を送れば、こくりと同時に二人から一つ頷きが返された。
｢そろそろ……八時だね｣
後二分後、必ず一人が亡くなる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2044人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆるり(プロフ) - 哭狼さん» ありがとうございます〜〜！ 嬉しいです……更新頑張れます！これからもどうぞ、よろしくお願い致します！ (2020年7月2日 9時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
哭狼 - ゆるり様、夢主の推察能力が半端なくて素敵でした！物語の続き楽しみにしてます。この作品が、大好きです(^^)すごく面白かったですm(__)m (2020年7月2日 2時) (レス) id: adf4aefcff (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - リリア最推しさん» 勿論出演予定ですよ！この後のお話に出てきますので、少々お待ちくださいませ！ (2020年6月28日 14時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
リリア最推し - 夢主の髪が切られたら1番黙ってない妖精王が居ますけど、出演ありですか？？ (2020年6月28日 13時) (レス) id: 1fa4972d94 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 哭狼さん» お褒めいただき光栄です〜！ 私の文章能力で、書きたいことが伝わるか不安でしたが……良かったです！ (2020年6月28日 8時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるり | 作成日時：2020年6月21日 12時
