続々と ページ50
姫国side
それから、みんなが修行に旅立って行った
姫国「やだやだやだ！行かないでよ薬研！」
薬研「なんでいち兄よりお前が面倒なんだよ！」
姫国「だって！またっ」
また、焼けちゃったりしたらどうすんの！？
そんなこと、言えない
でも、薬研は僕が何を言おうとしたのか察したみたいで、
薬研「今度はちゃんと帰ってくるさ。無傷でな」
姫国「•••」
薬研「ちゃんと信長さんの土産話してやっから」
姫国「それはいいかな。不動にしてあげてよ」
薬研「ははっ。わかったわかった。•••そんじゃ」
姫国「うん。気をつけてね」
姫国「ねぇ。本当に行っちゃうの？本当に？」
宗三「えぇ。行きますよ」
姫国「小夜が行かないでって言っても？」
宗三「•••えぇ」
ちょっと揺らいでるじゃん
宗三「大丈夫。ちゃんと帰ってきますよ。薬研だって、ちゃんと帰ってきたでしょう？」
姫国「そうだけどさ」
宗三「僕だって強くなりたいんです。わかってください」
姫国「•••うん。行ってらっしゃい」
宗三「行ってきます」
姫国「鶴さん！行ってらっしゃい！」
鶴丸「薬研や宗三のときみたいに惜しんでくれないのか！？」
姫国「え？だって落とし穴落ちなくてすむじゃん。一日一穴掘ってるんでしょ？」
鶴丸「まぁな」
姫国「ほらね。ほら、伊達のみんな、門で待ってるよ。気をつけてね、鶴さん」
鶴丸「おう。またな」
そして•••
姫国「うっ。うぅ〜。兄さんっ、行かないでよ〜」
長谷部「姫国•••」
清光「こーら。長谷部、困ってるよ」
安定「もう長谷部行くって決めてるんだから、行かせてあげなよ」
姫国「やだ、やだよ•••。また、会えなくなったら、どうすんの？」
長谷部「泣くな、姫国」
そう言って僕の涙をぬぐう兄さん
長谷部「必ず帰ってくる。だから心配するな。お前のことを忘れるはずがないし、会えなくなるわけがない」
そっと、僕を抱きしめる兄さん
長谷部「だから、ここで待っていてくれ」
姫国「•••うん」
長谷部「加州、大和守。姫国を頼んだ」
清光「うん。任せて」
安定「気をつけてね、長谷部」
長谷部「あぁ。行ってくる」
僕から離れ、門に向かって歩き始める兄さん
行かないでよ
そう言いたいけど、言えない
でも、これだけは言わなくちゃ
姫国「兄さんっ！」
僕の方を振り返る兄さん
姫国「行ってらっしゃい！気をつけてね！」
四日間の別れ
長いけど、兄さんはもっと長い時間別れることになる
だから、せめて笑顔で見送ろう
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作者名：兼さんの耳飾り | 作者ホームページ：http://yuzunoki
作成日時：2023年10月23日 16時
