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「仲良くしようよ」。
そのことが頭から離れなくって、授業に集中出来なかった。

授業が終わった今でも頭から離れていない。
本を読むふりをしながら、ずっと考えている。

いつもならユイが話しかけてくるのだが、ユイは保健室に行っているので私は独りぼっちだ。
誰かに相談出来たらいいのに。
でも、出来ないし、ユイがいてもユイには相談しないだろう。
ユイは今、とても大変な状態なんだから。

……どうしよう。

怖い。怖いんだ。
でも、誰にも相談出来なくて、見えない何かに怯えて。

さっきから周りの目線が冷たい。
私をチラチラ見て、何か言ってるのが分かる。

もしかしたら、教室にいるコイツらのイタズラなのかもしれない。
なんてたちの悪いイタズラなんだろう。
見てくるだけなら、何か言ってよ。
「その紙は私達がやったんだ。ざまーみろ。お前がユイをなだめなかったからだ」ってさ。

なんでコソコソ言うのよ。なんでそんな目で見てくるのよ。
堂々と私に言えないの?
この臆病者ッ!

そう思っていたときだった。
あまりの出来事に、「ヒィッ」と言ってしまった。

「え、ちょっと、どうしたのさ」
「……花、ちゃん……?」

いきなり、花ちゃんが私の頭に手を置いてきたのだ。

疑心暗鬼に陥っていたときに、いきなり頭に手を置かれると、普通はびっくりしちゃうよね?私は普通の反応だったよね?

つまり、この場合は花ちゃんが悪い。
そう、花ちゃんが私の頭に手を……__。

「え〜…もしかして、Aちゃん、ビビったぁ?」
「うん。びっくりしたよ」
「そうかぁ、そうかぁ」

花ちゃんは手を顎にあてて、頷いている。
ちょっとイラッときたが、ノアと比べれば全然可愛い可愛い。
それに、花ちゃんはウザイキャラだってことはこのクラスになった時から分かっていたから、今さら「キモい」と思う必要もない。

「で……何しに、来たの?」

「何しに」を強調して言った。
すると、花ちゃんが「ナナがさあ〜」と言ってナナちゃんの方に目を向けた。

教室の入り口の近くで、ナナちゃんをはじめ、瑠璃ちゃんと達也君とサトル君がこちらを見ていた。

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作者名:ムクロねこ | 作成日時:2015年7月6日 0時

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