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「トリックオアトリート!」
「……は?」
「お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!」
帰宅後、部屋のドアを開けるとなぜかAがいた。
まずそれと、彼女が仮装していることに二重で驚く。
まぁ、仮装と言っても学校の制服に黒い猫耳と尻尾をつけただけの簡単なものだけど。
期待したように俺を見上げる彼女を数秒眺めた後、もう一度ドアを閉めた。
「おいコラ!!なんで閉めんだよ!!」
……途端、ドンドンと強く叩かれるドア。
続いてガチャガチャと動くドアノブ。
誰だ、この化け猫を家にあげたのは。
「開けろ国見ー!!」
「……うるさい」
今の俺はきっと物凄く不機嫌な顔をしているに違いない。
鏡を見なくてもわかる、だって自分のことだから。
ため息と共にドアを開けると、もう一度手を差し出された。
「トリックオア」
「無い」
「つまんねぇ!!」
その言葉と共にペシッと音を立てて床に叩きつけられた猫耳。
そういえば学校でもお菓子をねだってきたっけ、なんて思い出しつつ、鞄を床に置く。
何を期待していたのかは全くわからないけれど、頭の中花畑の誰かさんと違って俺がハロウィンなんぞではしゃぐわけがない。
あーあ、と呆れたように俺のベッドに座ったAは叩きつけた猫耳を面白くなさそうに弄り始めた。
その姿を横目に上着を脱ぎ、少し間を開けて隣に腰掛ける。
ベッドが軋み、彼女の体がほんの少しだけ浮いた。
「学校でくれなかったから、次こそはって思ってたのに……」
「一回目で諦めろよ」
「でもさぁ、やっぱ欲しいじゃん。雰囲気的なアレで」
「どれだよ。つかやめろ」
俺の頭に猫耳をつけようと、細い腕が伸びてくる。
それを手で制しそっぽ向けば、大袈裟なため息が聞こえた。
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作者名:ビーーグル | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/chichichi1208
作成日時:2018年10月31日 1時