肆ノ咄 ページ4
疲労が溜まり、次の日。
未だ誰も来ていない教室に飾られている花瓶の水を変え、元の場所に戻す。
すると、谷崎さんがいつもより早く来ており、にやにやと僕の方を見詰めていた。
…映写機を構えて。
「貴方でしたのねぇ、毎日花瓶の水を変えて下さっていたのは」
「…何か問題でも?」
「いえ、お優しいなと?」
取り敢えず写真を消して貰おうとしたのだが、素早く電源を切られてしまった。
「其で、今日は探偵社に来られますの?」
「行きませんよ。…と云うか毎日聞く心算ですか?無駄に妬まれるのでやめて下さいよ…」
「貴方が連絡先をくれないからですわ?」
厭其僕が危ないです。
声には出さず、心の中で呟いた。
其から、人が少しずつ増えてきて、彼女も忙しくなってきた。
毎朝毎朝大変だと思う。
異能力について一切漏らさず、然し皆を楽しませるその話術には感服するが、其も僕には正直如何でも良かった。
「そうそう。怜さんも探偵社に入られますのよ」
突然の爆弾。
大量に集まる視線。
今の所は予定であり、事実無根な事だから気付かぬ振りをしたものの、本が奪われ結局会話に参加する事になった。
「未だ親にも学校にもアルバイトの許可は頂いてませんよ」
溜息を吐く。
谷崎さんは焦れた様に僕を見て云う。
「貴方の恥ずかしい秘密位、兄様に頼めば直ぐ見つかるんですのよ?」
「…其は脅しですか?」
「うふ、如何かしら」
もう一度溜息を吐き、此方を見る皆を見る。
僕に早く答えろと云っている様だ。
息が迚も詰まる。
「僕は黒社会と交わりたい訳では無いのですがねェ…」
そんな呟きは、教室の喧騒にかき消され、誰の耳に届く事は無かった。
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蛍(kei)(プロフ) - あんこさん» 深夜テンションの塊だなぁとは思ったけど突っ込まないでおく((( (2017年2月25日 12時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 蛍(kei)さん» いえー!ありがとー!!夢主君のドレスに突っ込まないでくれてありがとう深夜テンションでこれ殆ど書いたんだ← (2017年2月25日 9時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(kei)(プロフ) - どもどもー、零御だぜ!やばいナオミちゃん可愛い……(( (2017年2月25日 0時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
リズ - この作品面白いですね! (2016年11月13日 23時) (レス) id: 9929c522bf (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - あんこ様、太宰さんとの絡みを書いて頂き、ありがとうございました!最高に面白かったです!!これからも頑張って下さい! (2016年10月28日 19時) (レス) id: 3767d3feec (このIDを非表示/違反報告)
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