花嫁修業51日目 ページ14
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〈戻りました?〉の意味を悟った俺はゆっくりと首を横に振る。天月はそれを知っていたようにそうですか、と答えた。
「そらるさんの妖力にはやっぱり足りませんよねぇ…」
『だって天月は魔力じゃんか、俺の妖力には無理だよ。俺だって魔力はほとんどないし…』
「でも、起き上がれるくらいには回復したんですね」
『うん、ありがとう』
「いえいえ、luzくんにもお礼言ってね。忙しいのに飛んできて自分の妖力全部渡して仕事に行ったんだから」
luzは妖力の方が少し多い、でもそれを全部俺に渡して仕事なんて…。結構危ないことなのに、そこまでやってもらってしまったのか、と自分のした情けないことでそこまで心配してくれたluzに罪悪感を覚える。
『…そっか、お礼言わなくちゃね』
「ご飯食べます?」
天月の持ってきたご飯は病人用に料理されたお粥のようなものと、妖力が溜められている飴。そしてAが作っておいてくれたものがあった。
『…これ、』
「まふくんの棚から黙って持ってきちゃった!………怒られちゃうけど、いいよね…その方が…」
そう言った天月の表情は辛そうでいつもの様にまふが起きて怒ってもらいたい、という気持ちが伝わる。オレは口に三つほど飴を詰め込んだ、天月は驚いて目を見開いていた。驚いているのが丸わかりだけど、誰でも俺がこんなことしたら驚くだろう。
『ふっ……ん、…ぅ』
「ちょ、食べ過ぎじゃない!?まふくんの妖力詰め込まれてるんだよ!!?」
『…。』
口に入れたあと、数秒経つと綺麗に消えて身体に吸収されていく感覚が分かった。まふの妖力は多い、俺よりも多いかもしれない。それほどの強力な妖力を食べたのだからもうほとんど妖力は元通りに近くなった。
『…これで、』
「え?」
『これで、天月の他にも…俺もまふに怒られちゃうね。多分』
「…。……ふふっそうですね!」
二人で顔を見合わせて笑う、俺は天月の持ってきてくれたご飯に手をつける。すると天月は「あー!いただきますって言ってない!!」と俺の手を叩いた。俺は意味がわからず『何それ』と聞き返す。
「Aがご飯を食べる時に「いただきます」って言うんだって言ってたんだよ!」
『へぇ…。そんな文化あるんだ、……ぁ、でも、それよく聞いたことあるかも』
「でしょ!?」
『うん』
その時、カタッと襖から音がした、俺と天月がその方向へ風よりも早く駆け寄ると、驚きで目を見開く。
『……まふ』
そう、まふまふが起きたのだ。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年5月19日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あや - 始めまして!この小説すごい好きです! まふまふさん推しなので得に! 受験お疲れ様です 更新頑張ってください! (2020年4月3日 0時) (レス) id: a7aad2115f (このIDを非表示/違反報告)
胡桃きら - 推しを愛で隊(夜桜)さん» お返事ありがとうございます。受験だったのですね、お疲れ様です!そしてほんとにすみません、、何回も読み返していてこれまで占ツクで読んだの中でトップ3の中に入るぐらいだいすきな作品です!これからも応援しています、作者様のペースで更新頑張られてください。 (2020年3月29日 21時) (レス) id: 5346f0bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - 胡桃きらさん» 初めまして、そんな有難い言葉を頂いて本当に嬉しい限りです…!!受験も終わりましたので、更新を少しずつ再開しようと思っています。我儘なんかじゃありません!!わざわざコメントして頂けるなんて驚きましたが…w更新は再開します。絶対なのでご安心して下さい!! (2020年3月7日 14時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - あいろさん» あ、ありがとうございます!!! (2020年3月7日 13時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜桜 | 作成日時:2019年4月9日 0時