花嫁修業48日目 ページ11
『…大丈夫、です…よ』
口から出たのは自身に向けたものではなく、目の前に居るまふまふ様への言葉。
意識を保つためとも言えるがそんな考えよりも身体…口が動いていた。
『…貴方の中に、何が、いるんですか』
「ヴヴ…殺す、ニンゲン……」
『い゛っ……まふ、まふ様に取り付いて、るんですよね?』
「ぢゅ……ヂュル」
『は、はっ……ヒ、ぁ』
首から出ていく血のせいなのか身体が動きにくくなる、時々雄叫びを上げて痛みを我慢するも目の前が朦朧としてきた。……流石に、もう…
『……。ありがとう、愛を、幸せを、くれて、助けてくれて、名前をくれて…沢山くれて……ありがとう』
「ゔ…。あ゙あ゙…ッ」
『…幸せでした、まふまふ様。……大好きです、愛してます。…さよなら』
乾いた笑いが口から零れる。最後に出たのが笑いなんて、私、変わったなぁ…。
「……。
・
・
・
_____ボクも、愛してる、よ」
『ぇ…』
思わず痛みも気にせず瞼を開ける、目の前には虚ろな目ではなく、光がある、あの優しくて暖かいまふまふ様の目だった。
その目には溢れんばかりの涙があって留めることが出来ず、零れていく。
「ごめん。A…ご、めん。僕の、せいで…」
『ま、待って。まふまふ様、私は_』
「_____おやすみ、まふ」
パチンッと音が鳴ってまふまふ様が私に覆い被さる、私の声に被さるようにそらる様が声を出したのだ。目の前のまふまふ様は穏やかな表情で眠っていた。
意識が飛んでいく感覚に襲われた私は、それに逆らおうとしたが、そらる様に目を覆われてそのまま眠りについた。
_そらるside_
目の前に眠るAとまふを見る、まふの瞳はいつもなら目隠しの布を頭に付けているがそれが倒れた勢いで取れていた、閉じられているので見えないが表情へ穏やかだ。Aの頬には汗なのか涙なのか分からないものが流れていた、それほどまでに俺は辛いことをさせたのだろう…
『…ごめん、ごめん、…ごめん、二人とも。辛い思いさせてごめん…』
何度謝っても返答は来ない、分かっていても俺にはこの状況が最も辛いことだった。
自分はしっかりしなければならないと冷静に、冷徹に対処する。そう決めてから何度も後悔してる…。
俺は、まふのこともAのことも全く救えていない。それどころか辛い選択をさせた。
最年長なのに…何も、出来てない。
全て任せ切りだった。
…あぁ、ダメだ。考えたら…辛くなる。
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ちょこ - 終わってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます! (2021年5月19日 19時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あや - 始めまして!この小説すごい好きです! まふまふさん推しなので得に! 受験お疲れ様です 更新頑張ってください! (2020年4月3日 0時) (レス) id: a7aad2115f (このIDを非表示/違反報告)
胡桃きら - 推しを愛で隊(夜桜)さん» お返事ありがとうございます。受験だったのですね、お疲れ様です!そしてほんとにすみません、、何回も読み返していてこれまで占ツクで読んだの中でトップ3の中に入るぐらいだいすきな作品です!これからも応援しています、作者様のペースで更新頑張られてください。 (2020年3月29日 21時) (レス) id: 5346f0bcd8 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - 胡桃きらさん» 初めまして、そんな有難い言葉を頂いて本当に嬉しい限りです…!!受験も終わりましたので、更新を少しずつ再開しようと思っています。我儘なんかじゃありません!!わざわざコメントして頂けるなんて驚きましたが…w更新は再開します。絶対なのでご安心して下さい!! (2020年3月7日 14時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
推しを愛で隊(夜桜)(プロフ) - あいろさん» あ、ありがとうございます!!! (2020年3月7日 13時) (レス) id: e44c1f3d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜桜 | 作成日時:2019年4月9日 0時