ぶりっ子は実は歌い手でした。【歌い手】

うらたは複雑な気持ちです。 ページ21

うらたside

あの後、ちょっと2人と会える自信がなくて、用事が出来たと言って遊ばなかった。

でも、今日はすーらとのコラボだ。
前々から予定してたし、さすがにこれは断れない。

俺は気合いを入れるため、お気に入りの曲を聞いた。

「ふーん！ふふーん！」

鼻歌を歌って、今日の服を選んで、とりあえずコンビニに行った。
ちょっとしたお菓子を買うと、電車に乗って収録場所まで行くことにした。

今日は俺のマネージャーさんが風邪でしんどいらしく、来れなくなった。
すーらのマネージャーさんは、会議があるらしく途中で抜けるらしい。

なので、多分殆どすーらと2人だ。
ちょっと気まずい。

俺は電車から降りて、目的地まで歩いた。

ピコン

すーらからメッセージが送られてきた。

すーらもう着きましたよ!1階で待ってます。

早いな…。ちょっと俺も急ぐか。
俺は早歩きで街を歩いた。

ウィーン

自動ドアが開き、中に入った。

マスクをつけたすーららしき人がこちらを見て手を振ってきたので、俺も振り返した。
俺はそのまますーらの方へ歩いて行った。

『うらたさん！おはよう！』

「おはよ。今日早かったねー。って、マネージャーさんは？」

『それが、急遽会議が朝に回ったらしくって…。だから今日は電車で来たんだ。』

「へぇ、そうだったんだ。」

何故か、すーらに冷たくしてしまう。
すーらは、ニコニコと喋っていたので、それも無性にイラッときた。
俺、ギスギスしてるな…。
そう心では思ってるけど、やっぱり抑えられない。

『じゃあスタジオ行こう』

「…うん」

すーらは、俺の異変に気が付いたのか、どうしたのと聞いてきた。

「何にもない。それより早く行こ？今日用事あるんでしょ？」

『あ、うん…。』

空気が一斉にギスギスし始めた。俺のせいだ。

『…ごめんね、浦田くん。』

「何、いきなり。」

『いや、私のせいかなって…。ごめんね、付き合わせちゃって。』

「別に、すーらのせいじゃないし」

あぁ、なんで俺もっと優しく対応できないんだよ…。すーらに謝らせちゃって、何してんだ俺。

俺たちは無言のまま収録部屋まで行った。

『浦田くん、私に何かした？何かしてたら言って欲しいんだけど…。』

「だから、何も無いってば！」

あ。
思わず叫んでしまった。

『ご、ごめん…。え、と、歌おうか。』

そう言ったすーらの目には、涙が浮かんでいた。
ごめん、すーら。

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