episode.28 ページ26
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後ろに気配を感じた頃にはもう遅く、あっさりと首元を捕まれてしまった。浦田さんの黒く染まった長い爪が私の皮膚を破ろうと食い込んでくる姿に怖じ気づき、悲鳴さえも出なかった。
「最後、やなぁ」
「もうみんな居なくなったの…?」
「死んだよ、魂抜かれて」
吸魂パーティーとは、まさにこの事。
身の程知らずが集まり、騒ぎ出した頃に怪物は牙を出しぺろりと食べてしまう。
「お菓子なんかここにはあらへん。あるのは捕食者っていう甘い蜜だけ…。
それに、Aちゃんからはすっごく甘い匂いがすんねん。それもぷんぷんって」
パーティーの始めに優しく声を掛けてきた坂田さんでさえ、どうやら私を獲物としか見ていないようだ。紅く、ぎらぎらと突き刺さる視線で私を見つめて、舌舐めずりをした坂田さんは私の腕を強く掴んだ。
「人間に甘いも苦いもない」
「‥怪物にとっては、甘いねんで」
私の顎をすっと持ち上げて首に噛みつこうとするセンラさんをじっと見詰める。これしか、私に方法はない。
この悪魔たちから逃げられる訳など、ないのだから。
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ハゲつるマン@19830617(プロフ) - 雪華さん» すみません、間違えていました、指摘ありがとうございます! これからもこんな作者ですがよろしくお願い致しますね! (2019年1月17日 18時) (レス) id: ca77629a28 (このIDを非表示/違反報告)
雪華(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます。ストーリーが面白くて好きです!あと、捕食者って食べる側なので被食者がただしいのではないでしょうか? (2019年1月17日 0時) (レス) id: f84b103640 (このIDを非表示/違反報告)
ハゲつるマン@19830617(プロフ) - ちゃちゃるさん» ありがとうございます! (2018年11月3日 13時) (レス) id: ca77629a28 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃちゃる(プロフ) - 今作もとても面白いです!!続き楽しみにしてます♪ (2018年11月3日 13時) (レス) id: 461b4b0bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ハゲつるマン@19830617(プロフ) - 笑笑 ハロウィンナイトは明日ですよ!(あと一時間半) (2018年10月30日 22時) (レス) id: ca77629a28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハゲつるマン@19830617 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年10月23日 22時