牡丹が落ちる時【mfsk】

牡丹37 ページ37

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｢あれ……｣





さかたを玄関まで送るだけのはずが、何故か若様の部屋を出た先にそらるさんがいた




｢なんで……あぁ──そうだった｣





若様の口振りで忘れていたが、話が終わったら呼んでって言われてた





｢あんた覚えてて私に何も言わなかったでしょ｣



｢俺部外者なんで？｣



｢白々しい……｣






さかたの隣を離れて、そらるさんの方へ歩く
そらるさんはつけていたイヤホンを外すと、おつかれと一言くれた




｢若様に会いました？｣



｢まふまふ？いや、会ってないよ
だいたい一緒に話してるんじゃないのかよ｣



｢……それはまずいですね。｣





つまり今、冷静でない若様が縦横無尽にこの建物を歩いているはずだ

ただでさえあまり姿を表すことのない若様が、組織内をそらるさん探しに出歩いているなんて



一介の構成員からしたら、圧力以外のなにものでもない状況だろう




何か問題になってなきゃいいけど




｢すみません、そらるさん。あの男を任せてもいいですか？
話し合いはもう終わったので、若様も返す許可は出してます｣



｢なになに。どうしたの｣



｢若様が……今頃そらるさんを探しに下手(しもて)まで出歩いてそうなので、探してきます｣



｢あいつマジ何してんだよ｣





呆れているそらるさんに私は大賛成をしたいところだけど、そもそもの原因はこの目の前の人が自分力を見誤ってるのが悪いのだ



この人の発言が一体若様にとってどれだけでかいものか、もっと理解して欲しい……




｢それじゃ頼みました｣



｢なんかヤバそうだったら呼んで｣




｢はい｣






いや…もしかしたら、そらるさんは自分の発言力を分かっているから、あまり若様にものを言わないのかもしれない

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