牡丹が落ちる時【mfsk】

牡丹22 ページ22

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あぁ、知っている。


この言葉を私は幾度となく聞いてきたのだ

無駄に容姿が整ってるせいで、何かとそういう役に回されがちだったから





好きにさせて……だなんて、とてもずるい誘い方だ





｢──あなたも結局そうなのね。
いいわ。ただし、こっちの組織が提携するホテルにして

私もおいそれとやれる訳じゃない｣






こちらの運営するホテルなら隠蔽も、詐称もいくらでもできる

しかも事をしてるときは無防備になるのだ



そんな身一つの状態の時、敵に襲われでもしたら1発でさようならだ





｢……なんや、すれ違ってる気がするんやけど｣



｢この期に及んで言葉を濁すつもり？
男ならはっきり言いなさいよ。セッ○スしたいって｣



｢おっ…ま、……ばっ！バカなんか！？｣





完全に私に唾がかかる勢いで叫ばれる

その必死さに私も異常事態を感じて、改めてさかたの顔を見ると、顔を真っ赤にしていた




……え、違うの？






｢なんで、女の子からそんな言葉が出てくるんだよ！
普通にやだよ！馬鹿なんか！｣



｢さっきからバカバカって……。あんたが紛らわしい言い方するのが悪いんでしょ

好きにしていいかなんて、つまりそういう意味じゃない｣



｢どんな単細胞やねん！！｣





はぁはぁっと肩で息をしながら、さかたは膝を抱え込んでしゃがんでしまった


初な男子には致命的な発言だったらしい……裏社会の会社を潰そうとしていた人には思えないピュアさだ







｢ちなみに、さかたはどういう意味で言ったのよ｣



｢普通に日中デートしよって……言う意味だったんや｣



｢デート……？つまりは、手を繋いだりキスをするだけでいいってこと？｣




｢…ほんまどういう教育を受けたらそんなねじ曲がった回答が出てくるねん。

違うだろ。普通に買い物とか、一緒にご飯食べたりとか！｣





完全に疲れてしまってる様子で、下から私を見上げてくる

頼むからわかってくれ。という思いがひしひしと伝わってきた




でも買い物とご飯って…小学生のお遊びじゃあるまいし






｢ほんとにそんなのでいいの？
あなたとデートをすれば、私についてきてくれるのね｣



｢なんかもう。どっと疲れたわ｣




｢そんなこと知らない。決まったなら時間がもったいないわ。
行くわよ、デート｣

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