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牡丹16 ページ16

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「で、何がどうしてこのメッセージ通りのことが起こらないわけ」



「すみません」





本拠地に戻って休む暇もなく呼び出しをくらった



若様の部屋に速攻で向かうと既に人払いはされていて、部屋にはただ1人…若様だけが椅子に座っていた


私は中に入って、かなりの距離を開けて正座をする




既に和装に着替えている若様は私に向かって自身の携帯画面をチラつかせていた


そこには私がさっき送ったメッセージが表示されていることだろう







「僕と彼のやり取り聞いてなかったの?後で話をするって言ってたよね」



「はい」


「逃げられたの?逃がしたの?」



「……逃がしました。」






私と若様しかいないこのだだっ広い空間に、不機嫌そうな若様のコツコツとひざ掛けを叩く音が響く



でもあんな明らかに敵対表明をしていたさかたをここに連れてこれるわけがないじゃないか

首が吹っ飛ぶ前に弁解しようと、私は意を決して顔を上げた






「ですが、若様……っ」


「ここは2人しかいないよ、A」





怖いまでに完璧な笑顔がそこにはあって、私は震える声で言い直した





「まふまふ様……あの男はこの組織を潰すことを目論んでました
そのようなものをまふまふ様の元におけません」



「A、ちょっとこっちにおいで」






まるで私の話を聞いていないような返しに、これは会話になっていないと思うけれど従わないわけにもいかない



正座から立ち上がってまふまふ様の座る椅子まで歩く

メシリと木が音を立てる度に私の緊張感を増して逃げたくなる





椅子に座るまふまふ様の真正面に立つとまふまふ様はさらに笑みを深めた




「これ……さっき出来たばかりの神経毒。」






まふまふ様の細い指に挟まれている錠剤
フリフリと私に見せつけたあと、こともあろうかまふまふ様は自分の口に入れた





「なっ」



「さぁ、僕が動けなくなったら大変だ。キミはどうしなきゃいけないの?」




意地悪に薬が上に乗った舌をべーっと見せてきた
どこまでも楽しそうで、私を困らせてくる





「まさか不躾に僕の口に手なんか伸ばさないよね」




試すような目で私を見ていて、私は有無を言えなかった

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鈴凛(プロフ) - さ凄く好きです!! なんなんですか、文才ありすぎでしょう。 更新頑張ってください! 楽しみに待っています! (2021年1月4日 0時) (レス) id: 7339462afc (このIDを非表示/違反報告)
もろこ - もう好きという感想しか出てこなくなってしまいました好きです............更新めちゃんこ楽しみに待ってます!!!!! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 132f83efa1 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - パールさん» いえいえ、!間違いは誰にでもあるのでだいじょぶですよ〜!(о´∀`о) (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 優鈴さん» ありがとうございます(泣)。早急に直させていただきました! (2020年12月31日 1時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - 順番がぁ……!20、23、22になっちゃってますよ、! (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とぁ&パール x他1人 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年12月25日 20時

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