譲れない!*太宰治/江戸川乱歩 ページ25
太宰が云った。この世の中はくだらないと。
妙に癖のある手つきで彼女の頬を撫でた太宰は、耳元でなにかを囁いている
それをじっと、黙って乱歩は見ていた
囁いたものがなにかなんて乱歩は既に悟っている。
「厭ですよ」
心底面倒そうな顔をした彼女はため息をつきながら太宰の体をぎこちなく押した。どこが駄目なのかと太宰が問うて、彼女が根本的に解答を出した様子。
乱歩はお菓子を食べながらその光景を見ていた。だんだんと苛立つ乱歩は不機嫌さを放っているが2人は気付いてないようだ。
否、太宰は気付いている
「一寸」
乱歩が一声かける。その瞬間2人は乱歩の方へ目線を移動させた
彼女はハテナマークを浮かべ一方太宰はニヤリといやらしく笑っている。ぐいっと彼女の肩を寄せまた笑う
「んんん!!!」
乱歩は食べていたお菓子を放り出して彼女の手を無理矢理引っ張る
スタスタ歩いて乱歩の席まで行くと、椅子に座りその上に彼女を乗せた。
困惑する彼女は冷や汗を垂らして「重いんで降ります」なんて云う。彼女の体を離さないまま乱歩は「重いけど太宰にとられるくらいなら我慢するし」と云う。
重いと、ストレートに発する乱歩はいつも通りであった。
「重いのでしょう?手を離されては?」
「大丈夫だから。軽いし」
「早急と云ってること違いません?」って太宰が云う。それに対して乱歩はキッと太宰を睨みつけてガミガミ文句を云う
そして乱歩は口が滑る
「じゃあ太宰、A持ち上げられるの?」
「なに云ってるんですか乱歩さぁぁぁん!?」
彼女は悲鳴を上げる。太宰はそんなことも気にせずスタスタと此方に歩み寄って彼女を軽々と抱き上げた
ぐいっと顔の近くまで引き寄せられたせいか、彼女の頬は桃色に染まっている。
「...ずる」
「持ち上げろと云ったのは貴方でしょう」
「〜〜!!」
太宰が抱き上げていた彼女を、乱歩は無理矢理奪い取った。それも、軽々しく。
額に口付けして、自分の食べていたお菓子を無理矢理突っ込んだ
「...僕がお菓子を誰かに分け与えるなんて
滅多にないんだからな」
確かにそれは真実だ。
彼女は「ありがとうございます」とお礼の言葉を放ってお菓子を頬張る。それを嬉しそうに眺める乱歩。その様子を見て太宰はどう思ったんだろうか?
幸せな一時から奪うのも、アリなのだよねぇ。
両者、1歩も譲らない。
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いぶさんからのリクエストでした。お気に召しませんでしたら連絡くださいね
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マシュマロ君 - よし、好きだ(?) (12月7日 22時) (レス) @page5 id: dadbcbff17 (このIDを非表示/違反報告)
夜乃 - 好きです(突然の告白 (10月23日 22時) (レス) @page32 id: 22ab75ff6b (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 乱歩ちゃんが可愛すぎる。。。 (2023年3月14日 22時) (レス) @page8 id: a35ce8017e (このIDを非表示/違反報告)
雨色の水滴 - 乱歩さん……イイネ (2023年1月22日 10時) (レス) @page3 id: a4e9a44c2e (このIDを非表示/違反報告)
neko - 乱歩さん、これは一体? (2020年8月20日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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