ティーカップの中の嵐 三 ページ5
「……あはは、それで? その初犯らしい万引き犯は如何なったんですか?
無事小売店から逃げられたんですか? それともやっぱり捕まっちゃったんですか?」
「捕まったな。頑張って嘘をついていたんだが、結局捕えられた。
まあ、駆けつけた警察官が美女だったからな。結局鼻の下伸ばして喜んでいた」
「やだもう。男の人って顔の美醜で女のことを決めちゃうんですもん。
あーあ、わたしもよく童顔だって言われるんですよ。大人っぽくなりたいです」
「あんたもなかなか綺麗だと思うぞ」
「ふふ。お上手ですねえ、ブラーさん」
____エドワード・ブラー。
うちのシマでの裏取引の最中にポートマフィアに気取られ、その時にマフィアの人間を数人殺害後、芥川君たちに捕えられた。
異能力不明。出身地は恐らく
ただ、下級の構成員とはいえ、彼が所属している班は大きい。中央から派遣された新しい幹部が拡大したらしいが、詳細は知らされていない。
わたしは微笑みの形を保ったまま、じっと彼の一挙一動を観察していた。
わたしと太宰幹部がここに入ってきた当初、彼は並々ならぬ殺気を発し、固く脚を閉じていた。明らかな警戒と敵愾心、それから不安。
ただ、今は組んでいた指や腕は解かれている。警戒が解けていった証拠だ。
彼の異能は確かに不明だけれど、武力系ではないことは明らかだ。
もしそうであれば、縄で縛られ、軽い手枷を嵌められただけの状態で逃げ出そうとしない訳がない……まあ、そんなことをしてもどうせ捕まるけれど。
(怖いのは太宰幹部……)
中原幹部と違って、わたしの『拷問』中に異様なまでに静かだ。
異変ともいえるわたしのやり方。それに口を挟んでこない上司は、
振り返らずともわかる、怜悧な視線。氷雪のように冷然とした無感情な双眸で、彼はわたしを静かに観察している。
それが怖い。
これが年下の十八歳。信じ難い話だ。
「この紅茶はなかなか美味い。いい腕だ」
「ありがとうございます」
まあでも、わたしはやるべき事をやるだけだ。
優雅に笑み、彼の紅茶のカップを確認する。中身は全て飲み干されている____そろそろか。
(さあ、始めましょうか)
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やっさん - さにー☆彡さん» 後書きの羊の宰相、リンク、スタートになってますけど笑。徳田さんの、転生前の本名は、謎のままでしたか... (2019年8月10日 9時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - くどはるさん» ありがとうございます……!!そう言って頂けてとても光栄です!太宰さんは妖艶でないとだめですよね笑ちゃんと書けていたでしょうか笑…続きではありませんが、後書きにある作品がこれにリンクしたものとなっています。ご興味あればぜひどうぞ! (2019年7月23日 7時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
くどはる - こんなに読み込んだ作品は初めてです…作者様の言葉の卓越さや文章の造りに心底惹かれました!!一つの小説として、何度でも読みたくなってしまいます!太宰さん最高に妖艶です。続きを期待してしまいますが、また新しい小説楽しみに待ってます!素敵なお噺ありがとう! (2019年7月23日 1時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 涼風梓さん» なかなかに長い話でしたが最後までお付き合いくださってありがとうございます!!楽しんでいただけてよかったです! (2019年6月6日 15時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
涼風梓(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!面白くて一気見しちゃいましたw今更かも知れませんが完結おめでとうございます! (2019年6月6日 15時) (レス) id: b666f93d0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さにー☆彡 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年3月24日 21時