平行線の陰謀 六 ページ22
坂口さんと織田作さんに断って、太宰幹部と二人で店を出る。
夜の町の冷たい空気を吸えば、少しは頭痛は収まったものの、依然として気分は悪い。
……というより、今度の手の繋ぎ方は
「酔いは醒めた?」
「まぁ、大分良くなりましたけど」
「それは良かった」
高いところの方が風に当たれるかな、と連れてこられた歩道橋の上で太宰幹部が嫣然と微笑む。
確かに夜風が気持ちいいし、夜闇に浮かび上がる
(……今更か)
織田作さんたちに迷惑を掛けちゃったかな、とわたしは視線を下に投げる。
すると不意に、「いい感じの高さだね、この歩道橋」という不穏な言葉が隣から聞こえてきた。
「ねぇAさん、
「無理ですよ。幹部であるあなたを突き落として殺したとなったら、わたしも100%処刑されます」
「うふふ、それもそれで後追い自 殺みたいで素敵」
全然素敵じゃありませんけども。パワハラの域を越えてますけども。
「……冗談だよ、Aさん。だからそこまで厭そうな顔をしないでくれないかい?」
「あなたの冗談は冗談に聞こえません」
「まあ、心中が一番素敵だしねえ」
冗談じゃないじゃないですか。
「うーん、じゃあ一人で死のうかなぁ。……ねぇAさん、如何だろう?
このまま落ちて、奇跡的にトラックの荷台の上で、死ねなかった挙句大怪我だけするとかいうオチはないよね?」
「……あなたに限ってありそうで怖いですね」
「ええ、じゃあ矢っ張り君が勢いをつけて落としてくれないと困るなあ」
話が堂々巡りだ。
わたしは溜め息をつくと、「寝言は寝て言うものですよ、」と額を押さえた。
「太宰幹、……っん!?」
……そう云って振り向いたと思った瞬間、その刹那のうちに唇を奪われた。
驚愕に目を見開く。いや今わたし、何をされてる? ここは外なんだけど?
……最初は軽く、徐々に深く。それから吐息さえも貪るような、荒々しい
角度を変えて何度も食まれ、意図せず吐息と声が漏れる。
「っ、ふ……ッ、ぁ」
そして次第に呼吸もままならなくなると、やっと塞がれた唇が解放された。
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やっさん - さにー☆彡さん» 後書きの羊の宰相、リンク、スタートになってますけど笑。徳田さんの、転生前の本名は、謎のままでしたか... (2019年8月10日 9時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - くどはるさん» ありがとうございます……!!そう言って頂けてとても光栄です!太宰さんは妖艶でないとだめですよね笑ちゃんと書けていたでしょうか笑…続きではありませんが、後書きにある作品がこれにリンクしたものとなっています。ご興味あればぜひどうぞ! (2019年7月23日 7時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
くどはる - こんなに読み込んだ作品は初めてです…作者様の言葉の卓越さや文章の造りに心底惹かれました!!一つの小説として、何度でも読みたくなってしまいます!太宰さん最高に妖艶です。続きを期待してしまいますが、また新しい小説楽しみに待ってます!素敵なお噺ありがとう! (2019年7月23日 1時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 涼風梓さん» なかなかに長い話でしたが最後までお付き合いくださってありがとうございます!!楽しんでいただけてよかったです! (2019年6月6日 15時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
涼風梓(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!面白くて一気見しちゃいましたw今更かも知れませんが完結おめでとうございます! (2019年6月6日 15時) (レス) id: b666f93d0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さにー☆彡 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年3月24日 21時