【文スト】とりあえず笑っとけ【暗殺教室】

にじゅうさーん ページ24

うりうりとからかわれている二人の様子にクスクスと小さな笑みをこぼしていると、前原少年と一緒に来たらしい磯貝少年が声を掛けてきた。

｢おはようございます、咲良さん｣
｢ふふ、はぁい、おはようございます磯貝少年。もうクラスメイトなんだし敬語じゃなくていいよ。あ、あと名前で呼んで｣

苗字呼び慣れてないから、と先程と同じように伝えると、磯貝少年は少々戸惑いながらも爽やかな笑みで頷いた。

｢えっと、じゃあA、さん。俺、一応学級委員してるから、もし何かあれば気軽に聞いて｣
｢わ、頼もしいねぇ。いっぱい頼っちゃおっかな｣

勉強ちょっぴり苦手なんで、と親指と人差し指でちょっぴりを作ると、磯貝少年は期待に応えられるかは分からないけど、なんて謙遜しながら眉を下げて笑った。

勉強なぁ。外国語とか数字関係の知識は仕事で必要になることが多かったから叩き込まれてたけど、歴史とかまともに勉強したことないんだよね。なんだかんだ一番不安なのは勉強面かもしれない。普通の中学校だったらまだしも、とんでもエリート進学校だもんな。

そんなことを考えていると、渚少年に絡んでいた前原少年が今度は磯貝少年の肩に手を回す。

｢おいおい、俺を仲間はずれにしてんじゃねーよ。な、俺も名前で呼んでいい？んー、Aさん？Aちゃん？A？｣
｢前原、呼び捨ては流石に……｣

宥めるように苦笑する磯貝少年に、いーのいーの、とひらひら手を振る。

｢気にしないで。私、元々そういうの拘らない性質(タチ)だから。好きに呼んじゃってください｣

それに矢っ張り生徒たちとの距離を縮めるのって大事だと思うしね。

｢んー……じゃ、Aちゃんで！｣
｢お、いいねぇ。そうだ、良ければ他の子達にも伝えといてくれない？もしかしたら対応に困ってる子もいるかもしれないし、ね？｣

真面目な子なんかは特にそうなっちゃいそう。昨日の時点で全く気にしてなさそうな子もいたけれど、と数人の顔を思い浮かべながら、に、と口角を上げて彼らを見つめた。

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