【文スト】とりあえず笑っとけ【暗殺教室】

じゅうきゅ ページ20

｢A｣

｢うん、分かってるよ｣

国木田くんに咎めるような声で名前を呼ばれた。私がポートマフィアについて説明を始めると思ったのだろうが、流石にそれはしない。少なくとも今は。

｢じゃ、説明はこれくらいで大丈夫かな！時間的にもそろそろ皆帰った方がいいだろうし、もしまたなにか聞きたいことがあったら各々で聞いてもらうってことで｣

ぱん！と手を叩いて、話を切り上げた。国木田くんははぁぁあと大きな溜め息を吐き、疲れきった表情でしっしっと追い払うように手を動かす。

｢やっとか........ほら、お前たちもこれで満足しただろう、早く帰るといい｣

生徒たちはえー！とまだまだ聞き足りなかったようだったが、烏間先生からも帰宅を促され徐々に教室を後にした。

｢バイバイAちゃん、また明日！あ、国木田先生もさようなら！｣

｢ふふ、うん、ばいばーい｣

｢気をつけて帰れよ｣

最後の数人が教室を出たのを確認して、私は教卓の上に腰を下ろした。ぶらぶらと足を揺らしながら机の上に乗るんじゃない、という国木田くんの小言を聞き流す。

｢今日はお疲れ様でした、Aさん、国木田先生｣

｢どもども。素直でいい子たちですね、みんな｣

若いっていいなぁと年寄りじみたことを呟くと、黄色いタコがつぶらな瞳をこちらに向けながらにゅやにゅやと鳴き出す。

｢にゅやぁ........結局アナタ何歳なんですか｣

｢あらやだせんせ、女に年齢を尋ねるなんて紳士としてあるまじき行為ですわ｣

いい女気取りの口調でターゲットを揶揄っていると、また国木田くんに呆れられてしまった。

古びた教室から、ふと窓の外を眺める。赤い夕日が差し込むこの学び舎を、私が普通の生徒ではないと知っても気兼ねなく話しかけてくるような可愛い子供たちを、きっと守らなくてはいけないと、そう思った。

にーじゅっ→←じゅうはーーーっち

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