【文スト】とりあえず笑っとけ【暗殺教室】

じゅうううううさん ページ14

烏間side

｢ふっふっふ、驚いた？｣

年相応の満足気な表情で差し出された手を、思わず瞠目して見つめた。流石に15歳の少女に、鍛えている為に一般成人男性より重い自身の体重はかけられないので、気持ちだけ受け取って自力で立ち上がる。

砂埃を軽く払って、あっという間に生徒たちに囲まれて見えなくなった咲良さんにもう一度目をやった。

油断はしていなかった筈だ。軽い手合わせのようなつもりではいたが、それを抜きにしても彼女の身のこなしに翻弄されたのは事実。

武装探偵社......か。

書類上の情報以上の底知れない力に、たらりと冷や汗がこめかみを伝った。

｢ねえちょっとカラスマ、あの子一体何者なの？今の身のこなし、どう見ても只者じゃないわよ｣

｢武装探偵社から来た調査員だ。詳しいことは把握出来ていないが、今日の放課後に説明があるようだからそれを待つしかない｣

胸の前で腕を組んで、興奮気味の生徒たちに笑顔で対応している彼女を鋭い視線で貫くイリーナ・イェラヴィッチ。暗殺者として“そのような”現場は山ほど見てきたであろう彼女から見ても、咲良さんの立ち回り方は飛び抜けていたのだろう。

｢マジですげーよ咲良！つーかお前身軽すぎだろ！｣

｢あれだけ武装探偵社ですーってカッコつけといて情けない姿見せられないしね。んー、でももう一回するってなったらきっと肉弾戦じゃ厳しいかなぁ｣

ほら私ってば非力だからさ、と態と巫山戯た調子で笑ってみせる彼女はまるで普通の中学生に見えて、俺はそれを少しだけ恐ろしく思った。

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