大切な人の席【江戸川乱歩】

6席 ページ8

Aside

福澤社長から、暫くは書類整理だけやれとの命令が

えぇ…僕、人探しとかそっちやりたいぃ

ってボヤくと絶対二人からなんか云われる

書類整理をしながら近くにあったコップを口の傍に持っていく

む、珈琲…

僕は珈琲苦手なんだよなぁ

けど、黒髪ちゃんが折角持ってきたのだし飲むか

「っ！…ん"ん"」

苦い、そして熱い

人にあげる珈琲としては満点だが…僕ちょっと…

「珈琲飲めないなら飲めないって云えばいいじゃん」

「う、煩い…折角持ってきてもらったんだもん」

ちゃんと飲まないと失礼

…てか、江戸川は何でずっとこっちを見てるの？

怖いんだけど

「何で昔の呼び方で呼んでくれないの？」

「え？」

昔…？嗚呼、乱歩って呼んでたね

それとも乱ちゃん？

「あーらんちゃ「それじゃない」だよね〜…別に苗字呼びでも名前呼びでも変わらないよ」

信頼してるし、頼りにしてる

そこは変わらない

「僕がやなんだけど。距離を感じる」

「変わらないって」

「名前で呼んで？A？」

僕の顔を覗き込むように見ながらそう云ってくる

まるで捨てられた犬の様

負けては…負けては行けない…

頑張れ僕…

「ら、らんぽ」

無理ぃ、勝てないぃ

多分少し顔が赤いだろう

チラッと乱歩の顔を見ると何故かあっちも少し顔が赤く

「えぁ…あぁうん、僕乱歩」

何云ってるんだ…？

自己紹介？

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