拾漆の巻 ページ22
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「渉様！！お急ぎでございまする、御父上様がお呼びで！」
家臣が血色を変えて俺の前に現れた。息が荒い。父上がいる本丸から西の丸に向かって全速力で走ってきたんだろう。
「なんや？うらさん、何かしでかしたか？」
「縁起でもないことを言うな。今向かう。父上はそれだけか？」
「はい、すぐに渉を呼べと。」
坂田のいう通りになりたくはない。が、俺にも呼ばれる心当たりが残念ながらある。
Aとのこと、ばれていなければいいが。ばれていたら少しめんどくさい。
大御所様の耳にだけは届かぬように。届いたら改易が始まるからな。浦田家が徳川と同盟破綻になったら日本中を敵に回すことになる。
子が吉原で遊女と密会していたくらいならば大丈夫だと思うが・・・・。家がつぶれたら最悪だ。
このことはAの耳にも届いているだろうか。俺はそんな思いを抱きながら、反対側の本丸へと足を速めた。
「父上、失礼いたします。」
「渉か、入れ。」
ふすまをゆっくりと開けると、静かに佇む父上の姿が見えた。
相変わらず顔だけだと何考えてるかわかんねえな。目を見ればすぐにわかる坂田とは大違いだ。
俺と同じ翡翠の目が冷ややかに見つめる。身内でさえも恐れる父上の目を俺はまっすぐ見ていった。
「本日はどのようなご用件で。」
「お前、昨日の夜、吉原に行ったらしいな。」
わーこっわ。怖い怖い。「はい、そうです。」と認めたら怒り狂って俺に切腹を申し立ててくるか？
はたまた、喜んでくれるのか。どっちに転ぶのやら・・・・。他人事ではないのだがな。
「はい、吉原におりました。」
暫くの沈黙が部屋に流れる。俺が吉原にいたことを認めると、周りにいた家臣たちは「おぉ・・・」と声を漏らす。
「女に興味なかった渉様が・・・・。」
「どのようなご心境の変化が・・・・。」
そんなに俺が女といることがおかしいか、と少し笑いそうになる。俺だって普通の男なのに。
そして、父上は顔を変えない。昔から何があっても顔を変えなかった人だ。嬉しくても、悲しくても顔に出ない人だ。
この結果はある程度予想していたが、沈黙は辛いな。
そして何分経ったか。父上が重い口を開いた。
「渉、お前、女に興味を持ったのか？」
重々しい言葉が俺の心に落ちる。そうか、はたから見たら俺がAを抱いたということになっているのか。そう思うと少し面白い。
でもまあ、興味を持った、というのは事実だ。俺は父上に言う。
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イチゴミルクキャンディ@サブ垢(プロフ) - PE@みたらし団子バカさん» わー！ありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年8月18日 19時) (
レス) id: e98fc17c66 (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - 更新頑張ってください！ (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
PE@みたらし団子バカ - これは私の好きな種類の話だ！ (2019年8月17日 19時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
いまりちゃん - もでらーと。さん» ありがとうございます！！（パソコンから返信しています。）そしてそしてもでらーと。様は様々な小説を書いていらっしゃるのですね！お星さまが坂田さん色で憧れます（笑）更新頑張ります！ (2019年8月3日 22時) (レス) id: 42f8b00619 (このIDを非表示/違反報告)
もでらーと。(プロフ) - おもしろいです…！私、歴女&crewなので超嬉しい組み合わせです！更新楽しみに待ってます！ (2019年8月3日 18時) (レス) id: 5d5b1bd419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：イチゴミルクキャンディ | 作者ホームページ：プロ野球
作成日時：2019年7月20日 20時
