ソレヲ人ハ恋ト言ウ

拾参の巻 ページ18

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「うらさん、帰り遅いな〜。」

「大御所様に付き合わされとんのちゃう？」

「もしかして、女の子とよからぬことをしてたり。」

いや、それはないやろ。と俺は心の中でつぶやいた。

俺は坂田。うらさんに仕える家臣だ。

俺たちにも口酸っぱく稽古、稽古といううらさんが帰りが遅い。というか朝帰りの時間になるなんて珍しすぎるというか今まで一回もない。

もしかして、道中で暗殺されてるとちゃうか、それはないと願いたいが。

「心配やな。護衛ついていった方が良かったんとちゃう？」

「いや、うらたさんが一人でいいって言ったんやで。そう弱くはないし、大丈夫やと思うけど。」

でも、集団で囲まられたらひとたまりもないやん、と俺は思ったが、うまく呑み込んだ。

ここで喧嘩したらあかん、今はうらさんの帰りを待つだけ、と心の中で宥めた。

「・・・・・・・俺は心配されるほどやわじゃないんだけどな。」

「わっ！うらたん、いつから帰ってたんですか！？」

「大御所様に付き合わされとんのちゃう、らへんから。」

帰ってきた。よかった。殺されてへん、けがもしてへん、無事や。

安心はしたが、いつもとうらさんの匂いが違っていた。なんやろか、甘い、におい？

「坂田、匂いをかぐな。」

「え？だって、うらさんから甘い匂いすんねんもん。」

「もしかして、やってきちゃったんですか？」

いつもなら、「なわけないだろ。今すぐ稽古に戻れ。」と冷たく言われるのだが、今日は違った。

「馬鹿。だが、お前らには紹介しておきたい女ができた。」

「彼女ですか！？」

「ちげーよ。とにかく、次はお前らも吉原にこい。会わせてやる。」

うらさんに俺たちに会わせたい女ができる？嘘や、考えたくないというわけではない、信じられないという方が正解に近いだろう。

とにかく、うらさんにもようやく春が来たか。俺は嬉しいで？子供とかかわいいしな。

次は俺が、人肌が恋しくなるかもしれへんけど。

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