玖話 ページ11
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「なんでそんなこと思うんだい?」
森さんに鋭い目で聞かれた。
私が二人に会ったときから思ってたことだ。
言いたくない、言ったら幻滅されてしまいそうだから。
言えるわけがない。
けれど、ボロボロと私の口からは自分の感情が溢れ出てきてしまう。
「だって…わた、しは、会ったばかりの素性もにゃ、にゃー…っ、なに、も、分からにゃい人間…じゃなっ、いですか」
もうこのさいにゃでいいわこん畜生。
「存在意義、にゃんて自分でもわからにゃいし…しゃんにんは、私がいてもいにゃくても関係にゃいでしゅし…くっ」
「しゃんにんにとってっ、私はただの駒にゃんじゃにゃいですか」
「だから…、言いたいことはっ、」
顔はきっと涙でぐちゃぐちゃに濡れて、お面が汚れてしまってる。
止まれって思ってるのに止まらない。
「殺し、て……」
絞り出すような声で私は言った。
帰る場所も待ってくれてる人も私を見てくれる人もいない。
私が生きている意味がないのなら。
「ねぇ」
「だざ、い、さん」
「私たちは君を殺さないよ。ね、森さん?中也?」
「あぁ、殺さねぇ」
「殺すわけがないよ」
ふわり、また太宰さんからいい香りがしたけど今日のは少し血が混じってる気がする。
「どーしてぇ……」
震える声で尋ねても太宰さんは何も言わず微笑んで私を抱き締めるだけだった。
ただ、ただひと言太宰さんが何か言った気がした。けどそんなのを聞いてる余裕さえなかった私は太宰さんの腕の中で声を圧し殺して泣き叫んだ。
__________「君なら、私から離れないでくれそうだから」
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作者名:拳銃 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月12日 23時