検索窓
今日:7 hit、昨日:11 hit、合計:29,885 hit

林檎が十八個 ページ24

「ん、ぅ……」


目が覚めると、其処は武装探偵社の医務室だった。


与「!目が覚めたかい?A!」


「は、い。」


与「なら、良かッたよ。」


「あの…フェーヂャ…ドストエフスキーは何処に?」


与「……特務課が確保して、今は牢屋の中さ。」


「そうですか…」


か弱い声が口から出る。


与「……前から聞きたかったンだけど、Aにとって、ドストエフスキーは、そんなに大切なのかい?」


「……えぇ、大切な人であり、家族の様な存在です。」


与「そうかい。…なら良いンだけどねェ。」


与謝野先生は苦笑の様な苦い表情を浮かべると、医務室の椅子へと戻って行った。


またベッドに一人で横たわると、何故か涙がぽろりぽろりと溢れてはシーツにシミを作った。
"あぁ、なんて事をしてしまったんだ。"
私は少なくともあの二人といて、"楽しい"と思ってしまった。それがどうしようも無いくらい愚かで傲慢だった事を今更知ってしまった。


「与謝野先生、あの…」


与「んん?なんだい?」


「いえ、何もありません………寝台、少しばかり借りていますね。」


与「嗚呼。ゆっくり休みな。妾は社長に一寸用があるから、行くよ。」


シャッとアコーディオンカーテンが閉められ、コツコツと与謝野先生が歩く音だけが響いている。
きっと、他の社員の皆んなは事後報告や後片付けに回っているのだろう。
それならば、そうだ。
私もやらなくては。


「…っ、駄目だ。はぁ………」


動こうとしても、上手く身体を操れない。きっと、心身共に耗弱しているからだろう。
体全体が中だるみしたみたいに重くて、それでもって心すら沈んでいる。
こうなった私には、やることは一つだ。


「よし、眠ろう。」


眠れば、全て忘れられる。



そう願って、私は重い目蓋を静かにおろした。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←作者頁



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.1/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
88人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

雪華 - 栢山さん» ありがとうございます!好みに合って良かったです (2018年3月26日 20時) (レス) id: dd74f2815f (このIDを非表示/違反報告)
栢山 - 闇があるので、とても私好みです(^-^;。 (2018年3月26日 18時) (レス) id: 015d78937e (このIDを非表示/違反報告)
青空ピース - みささん» ご観覧ありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします。 (2018年3月22日 8時) (レス) id: dd74f2815f (このIDを非表示/違反報告)
みさ - ドストさん推しなのでうれしいです!! 設定めっちゃ好みだし、これからも更新頑張ってください! (2018年3月22日 2時) (レス) id: 2aabce13b3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:青空ピース | 作成日時:2018年3月4日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。