林檎が十八個 ページ24
「ん、ぅ……」
目が覚めると、其処は武装探偵社の医務室だった。
与「!目が覚めたかい?A!」
「は、い。」
与「なら、良かッたよ。」
「あの…フェーヂャ…ドストエフスキーは何処に?」
与「……特務課が確保して、今は牢屋の中さ。」
「そうですか…」
か弱い声が口から出る。
与「……前から聞きたかったンだけど、Aにとって、ドストエフスキーは、そんなに大切なのかい?」
「……えぇ、大切な人であり、家族の様な存在です。」
与「そうかい。…なら良いンだけどねェ。」
与謝野先生は苦笑の様な苦い表情を浮かべると、医務室の椅子へと戻って行った。
またベッドに一人で横たわると、何故か涙がぽろりぽろりと溢れてはシーツにシミを作った。
"あぁ、なんて事をしてしまったんだ。"
私は少なくともあの二人といて、"楽しい"と思ってしまった。それがどうしようも無いくらい愚かで傲慢だった事を今更知ってしまった。
「与謝野先生、あの…」
与「んん?なんだい?」
「いえ、何もありません………寝台、少しばかり借りていますね。」
与「嗚呼。ゆっくり休みな。妾は社長に一寸用があるから、行くよ。」
シャッとアコーディオンカーテンが閉められ、コツコツと与謝野先生が歩く音だけが響いている。
きっと、他の社員の皆んなは事後報告や後片付けに回っているのだろう。
それならば、そうだ。
私もやらなくては。
「…っ、駄目だ。はぁ………」
動こうとしても、上手く身体を操れない。きっと、心身共に耗弱しているからだろう。
体全体が中だるみしたみたいに重くて、それでもって心すら沈んでいる。
こうなった私には、やることは一つだ。
「よし、眠ろう。」
眠れば、全て忘れられる。
そう願って、私は重い目蓋を静かにおろした。
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雪華 - 栢山さん» ありがとうございます!好みに合って良かったです (2018年3月26日 20時) (レス) id: dd74f2815f (このIDを非表示/違反報告)
栢山 - 闇があるので、とても私好みです(^-^;。 (2018年3月26日 18時) (レス) id: 015d78937e (このIDを非表示/違反報告)
青空ピース - みささん» ご観覧ありがとうございます!これからも頑張りますので、よろしくお願いします。 (2018年3月22日 8時) (レス) id: dd74f2815f (このIDを非表示/違反報告)
みさ - ドストさん推しなのでうれしいです!! 設定めっちゃ好みだし、これからも更新頑張ってください! (2018年3月22日 2時) (レス) id: 2aabce13b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青空ピース | 作成日時:2018年3月4日 19時