太宰王子 ページ9
「久しぶり、A」
『いらっしゃい、太宰様』
「治でいいよ」
『治様、こちらにどうぞ』
「もう少し砕けた呼び方でもいいのに〜」
今日は朝から太宰様が遊びに来る予定でいたので、中也には会いに行けない。
待ってたりしたら、申し訳ないなぁ…
『じゃーん、私の国で採れた蟹を使ったお料理!この前のアクセサリーのお礼に、一緒に食べましょう…!』
「私が蟹好きなの覚えていたのかい?」
『だって出会った時、いっぱい話してくれたから』
「流石A…まさに、私のお嫁さんに相応しいよ!」
『早く食べないと、全部食べちゃおうかな』
「全く、つれないなぁ。そこも愛らしいけど」
ことあるごとに結婚の話を出す太宰様。
彼は本当に良い人で、結婚相手として不足はないんだろうけれど…国を担っていく上で、私なんかが支えていけるだろうかと不安になる。
頭も特別賢い訳じゃないし、綺麗な王女様なら、他の国にもたくさんいる。
「…A?」
『あ…なに?』
「私がいる時は、私に集中してよ」
太宰様がいつの間にか横にいた。手を重ねられ、指を絡められる。重ねられた彼の手を見る…この人、どうしていつも包帯巻いてるんだろ。
『ごめんなさい、考え事してたの』
手を軽く握り返すと、彼はニッコリ笑った。
ーー
ー
外はもうすっかり夜になっていた。彼と過ごすのは、何だかんだ楽しかった。あっという間の一日。
「綺麗な港が見えるね」
『あの船に乗って、漁師の方達が一生懸命働いてくれてるんだよ』
バルコニーに出て、二人で夜風に当たっていた。夜の船に明かりが灯っているのが見える。
海を見ると、自然と思い出す中也の存在。
…中也、どうしてるかな。来なかったこと、怒ってるかな…
中也のことを考えていると、突然グイッと腰を抱き寄せられた。
「A、また他のこと考えてるでしょ」
『…近いですよ〜』
「…君との将来、本当に真剣に考えているからね。君、もう17歳でしょ?心に決めた人はいるの?」
『う〜ん、特には…』
心に決めた人。そう聞かれて、思い当たる人物は特にいなかった。
「なら、私にし給えよ」
『え、』
頬にキスされたと認識した瞬間、顔が熱くなる。
『は、離して!私、まだそんなに大人じゃない…!』
「やぁだ」
そのままギュッと抱きしめられる。
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ヨモギ雲(プロフ) - チョコさん» こんにちは、コメントありがとうございます!4期見ています!出番が少ないながらも、相変わらず中也さんかっこいいですね…!✨ (2023年3月30日 23時) (レス) id: 8cd691db0d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - この話し面白くて見てます!そういえば、文スト4期始まっていますよ!! (2023年3月21日 13時) (レス) @page25 id: d38db6c248 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - こちらこそ返事ありがとうございます。作者様のペースで大丈夫です。今後も期待しています! (2021年6月29日 18時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
ヨモギ雲(プロフ) - ユエさん» コメントありがとうございます!ダラダラ更新で本当に申し訳ないです(汗)頑張ります! 7月からでしたっけ…?一期がまた見られるらしいですね、楽しみです! (2021年6月29日 0時) (レス) id: 4c88579f44 (このIDを非表示/違反報告)
ユエ - いつも楽しませてもらってます。そういえば文ストの再放送がやるみたいですよ。 (2021年6月28日 7時) (レス) id: 007fbd0124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヨモギ雲 | 作成日時:2021年1月22日 13時